憲法改正の手続き法は整理されたが、『憲法条文の改正の目的や効果』について賛同も関心も集まってない。『法的安定性・平和主義・人権』を軽視する自民の憲法改正草案は、近代的立憲主義からの後退である。
安倍首相の言葉を借りれば『憲法改正への橋は整理されたが、その橋を通るべきものが何なのか分かっていない』ということになる。9条改正による自衛隊の国軍化や集団的自衛権について日本の賛同者は『対中国の抑止力』を想定するが、米国の改憲要請の中心は『中東・北アフリカにおける日本の持続的な軍事援助』である。
中国の東シナ海・南シナ海における領海の核心的利益の主張は強硬だが、『自由航行の原則』を守るという日本・東南アジア諸国の貿易の核心的利益が脅かされるリスクは低い。ペイするか分からない海底資源掘削の問題はあるが、貿易の自由航行権の保障は中国の貿易利益や国際的評価とも直結するので制限しないだろう。
続きを読む 安倍首相は『憲法改正への橋』は整理されたというが、『立憲主義の原則+国民的議論の喚起』はほとんど確認されていない。