『海外邦人の保護対策』と同等に『海外邦人が狙われるリスクを下げる外交戦略・国是の明示化』も必要。挑発的な外交や平和主義を歪曲した国是を示し、邦人保護の必要を強調すれば軍事的対抗策の議論に行き着く。
<外務省>携帯で緊急通報など海外邦人安全対策
『ISとの戦い』に日本国が軍事面や軍需物資・部隊派遣など後方支援の面で協力することはないという事を、安倍首相は人質事件の事後に説明したが、『人道支援のみに限定した資金支援の主旨』がエジプトでの演説の中で伝わりきらなかった。ISやボコ・ハラム等イスラム過激派との向き合い方は日米関係との兼ね合いが影響する。
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安全保障より生活窮乏(所得減・増税)で大勢の国民が犠牲になってるが、改憲は『国民主権・平和主義・人権』の三原則を変質させ、国民の不安・不満の原因を内政から国外や軍事にミスリードする方向へ行くのではないかと不安である。
首相、国民投票は来夏の参院選後に 憲法改正へ意向
日米軍事同盟の強化が叫ばれる中、アメリカが日本に思い通りの血と汗の負担をさせられない抑止力となっているのが、米国GHQが起草に参加した日本国憲法である。憲法9条や25条の改正は、日米同盟の中で『日本人の犠牲』を払ってでも米国の世界秩序や地政学的リスクの封じ込めに参加する責任履行を担保する恐れがある。
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ISISやISILと称する暴力支配を是とする武装集団(通称イスラム国)は、『イスラム原理主義国家建設』を掲げて前近代のカリフ制度や男権社会の復活を目論んでいるともされるが、イスラム国を突き動かしているものは『俗世的なカネ(オイルマネーの配分)・女(制圧地域の対人支配)』と『理念的な反米主義・反近代主義(現行世界秩序の否定)』だろう。
イスラム国の兵士に志願する者には、イスラム教の原理主義的な信仰などには興味のない粗暴な人たち、先進国の文明社会に適応できなかったり欧米社会でムスリムとして差別を受けたりして、暴力・略奪・強姦などの力による支配に魅了された人たちも数多く参加している。
イスラム国兵士のモチベーションを最も強く支えているのは割高な給料(オイルマネーの配分)だという話もある。そのため、戦況が劣勢になって戦死者が増えればイスラム国の忠誠心や求心力は段階的に弱まるのではないかという推測もあるが、『反欧米・反近代・反男女平等主義(反人権思想)』といった現代の国際秩序の中心的な価値観に反対する人や勢力は終わりなく生み出されている。
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『イスラム教』と『IS(イスラム国)の過激派勢力』は異なり、ISに参加していないムスリムは危険なテロリストでも武装勢力でもないというのは常識的な認識として日本人も持っておく必要がある。
IS(イスラム国)と無関係な在日の一般ムスリムに、悪意や復讐心に基づく差別・迫害・嫌がらせを行うことは犯罪・迷惑行為であり、自らの認識の間違いや人間性の愚劣さをあらわにすることに他ならない。
一方で、後藤健二さんと湯浅遥菜さんは『民間の日本人』であって、『安倍政権(日本政府)の対ISの外交政策・テロ対策の代弁者』ではないのだが、IS(イスラム国)は後藤さんと湯浅さんが『日本政府の方針や資金支援に反対する個人』であったとしても容赦なく殺害しただろう。
ここに、排他的(対話不能)なナショナリズムや宗教原理主義に接続しやすい『国家と宗教への帰属を決め付ける人間心性』や『相手の帰属情報だけで自分たちの敵だと決め付ける対話拒絶』の恐ろしさがあると見なければならない。
人口3億人を擁するアメリカ、人口1億3千万人の日本には、『アメリカ人』や『日本人』という大雑把過ぎる国籍のカテゴリーだけでは括れない多種多様な思想信条・価値観・ライフスタイル・人間関係・国際感覚を持った人たちがごった混ぜになっていて、すべてのアメリカ人(日本人)が『政府・権力者の賛同者』であるわけではなく、政権を支持していても内政・経済と外交・軍事では意見が分かれることも多いだろう。
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イスラム国の人質事件。国家がどこまで自国民を保護すべきか、国際紛争で一方に軍事・資金面で協力した場合(集団安保発動時)の敵からの反撃リスクにどう対処するのかが問われる。日米同盟・西側協調から身代金の支払いは困難だが、交渉窓口を作れればフランスやドイツのように水面下の価格交渉は可能かもしれない。
憲法9条を改正し、軍隊の創設・軍事力の強化を行い、日米同盟を深めれば安全保障は磐石になる(事前に敵を抑止・威圧して自国民を守れる)という安倍政権の構想は、『世界最強の軍事国家の米国』で大勢の国民・兵士が戦いやテロで殺され続けているのを見ても根拠は薄い。米国の理念を不満とする敵と向き合う覚悟を要す。
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生活保護減額は社会保障費削減の効果において微々たるものだが、生活保護と低所得層の損得・階層の対立を煽る図式が作られていることが大きな問題である。
生活保護に対する差別・偏見・侮蔑などが、『格差社会・中流崩壊・不安定雇用増加のガス抜き』にもなっているのだが、現在の経済社会・雇用情勢では『誰がいつ生活保護に近い仕事・生活の状況になってもおかしくない側面』があり、セーフティネットとしての生活保護を縮小・削減し続けることのリスクは小さくない。
生活保護の「家賃」減額 政府予算案【福祉・雇用】
生活保護費は全体で約3兆1000億円程度の規模だが、社会保障費に占める割合は約3%で、いくら生活保護費を締め上げて減らしても、『社会保障制度改革の文脈における支出削減効果』は極めて限定的である。
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