「政治」カテゴリーアーカイブ

国会の『一強多弱』と自民党中心の長期政権の兆し:小沢一郎に対抗軸が作れるかは疑問だが…

小沢一郎は野党を大同団結させて与党を切り崩す『政局の名手』で、自民党と社会党の擬似二大政党制(イデオロギー対立図式)の『55年体制』を崩壊させた功績はあるが、結局、91年のソ連崩壊という『米ソ冷戦構造の終結』の余波を受けてのものでもあった。

小沢一郎氏、埋没回避に躍起―野党結集に意欲

現代でも右翼や左翼といった分類は無いわけではないが、安倍晋三首相率いる自民党のような“復古主義(改憲)・国家主義(安保と軍事重視)・自由競争原理・人権制約”の立場を『右翼』とし、それに反対する“進歩主義(護憲)・個人主義(自由と対話重視)・市場原理抑制・人権尊重”の立場を『左翼』としているに過ぎない。

自民党的な政策・価値観・思想性の対立軸として機能する政党が殆どなくなり、議席を大幅に減らした民主党もまた、自民党に近接する価値観や政治思想を持っている議員は少なくなく、政治が一つの流れに収斂しようとする『一強多弱のフレームワーク』はかなり強固である。

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安倍政権の集団的自衛権・富国強兵路線と徴兵制を危惧する意見:現代の戦争から失われる当事者意識

安全保障を外国任せではいけないという論法で集団的自衛権に賛同する人が、海外派遣・自衛戦闘の任務を自衛隊(自分以外の国民)任せにして、一般国民(自分)の徴兵は有り得ない話だとするのは道義的な矛盾はある。

安倍首相が猛進する富国強兵 少子化で徴兵制も

自衛隊(軍隊)に志願しているのだから一定の生命・身体の危険は覚悟のはずだ、自分で決断・選択していない国民と隊員の責任は違うはずだというのはその通りだが、戦後に一人の戦死者も出していない自衛隊の海外活動で死者が出始めれば、志願者・入隊者が減少する可能性はある。

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集団的自衛権・抑止力と徴兵制の懸念にまつわる議論

同盟国(密接な関係にある国)が攻撃を受けた時に、日本も一緒になって防衛・護衛(応援)のための戦闘に参加できるという集団的自衛権には、『日米同盟の深化(米国の世界戦略との共同歩調)』と『国連の平和維持活動(国際協力活動)に対するコミットメント』という二つの側面がある。

集団的自衛権は徴兵制につながるのか?

前者の『日米同盟重視』は、20世紀の連合国軍の中軸を占め、『米ソ冷戦』にも勝ち残った勝ち組のアングロサクソン国家アメリカ(自由主義を推進する世界最強の軍事国家)に追随してさえいれば、双務的な日米同盟が万全の国家安全保障として機能するだけでなく、自由・人権を擁護する価値観闘争においても優位なポジションを保てるという信念に支えられている。

後者の『国連中心主義』は、国際機関である国連と普遍的理念を示唆する国連憲章の権威を日本が積極的に認めて、国連が行うPKOや災害復興支援などの役割を日本が自律的に果たすために、共同で任務に従事する友軍が攻撃を受けた場合に『駆けつけ警護』を可能にするものとされている。将来的には、国連の安保理・常任理事国の決議を得た『侵略国家・虐殺国家に対する集団安全保障体制(国連軍による軍事制裁)』に、日本も自衛隊の犠牲を覚悟して参加するといったレベルの集団的自衛権も想定される可能性がある。

集団的自衛権の行使をしなくても自国を侵略から守るという意味では、自国が攻撃されたり攻撃される恐れが十分に急迫している時に武力行使できるとする『個別的自衛権』でも対応が可能である。

そのため、集団的自衛権を行使するということは、『軍事同盟・友好関係による仮想敵の設定(仮想敵を攻撃することによる敵対関係の形成)』を意味することになり、集団的自衛権は武力による威嚇を含んだ『抑止力』として『仮想敵国の危機感・軍事緊張(軍拡競争)』を煽る恐れも強くどっちに転ぶかは分からない。

軍事力で仮想敵国を間接的に威圧・脅迫する『抑止力』は、将来の戦争を先延ばしする効果はあるかもしれないが、勢力均衡の米ソ冷戦下でキューバ危機や複数の代理戦争が起こったように『抑止力による威嚇・圧力』が強まれば強まるほど、潜在的な反発心(相手の真意を疑ってやられる前にやったほうが良いの先制攻撃の誘惑)も高まりやすい。

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政務調査費の不正疑惑追及に応えきれず号泣、兵庫県の野々村竜太郎県議

号泣県議 奇異な言動は昔から

兵庫県の野々村竜太郎県議の市職員(地方公務員)からのキャリアを見ると、市長選・地方議員選に繰り返し出馬するなど、とにかく政治家になりたいという願いが非常に強かった人物であることは分かるが、『政治権力の使い道・政治とカネの認識』と『政治家としての資質・適性』の上で問題を抱えていたようだ。

話題になっている記者会見での号泣の場面は、インターネットの動画サイトやニュースサイトを瞬時に駆け巡り、国際社会の晒し者になるような形で醜態が広まった。

日本の政治家のレベルの低さを今までとは異なる角度で知らしめたが、『会計管理の杜撰さ(公金の私物化)・ストレス耐性の低さ・情緒不安定で衝動的な性格・逃避的(泣き落とし的)な問題解決の模索』など、地方議員としての職責を果たすには不適切な点が多すぎる。

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集団的自衛権と『日米同盟・中国の仮想敵国化・世界の平和と安定への貢献・徴兵制の懸念』をどう考えるか。

国民の生命・財産を守る安全保障は、本来EUの如き地域共同体・価値の共有に近づく方向性でないと破綻する、『仮想敵国・抑止力の安保』はアドホックなだけでなく国民が国内の権力・制度に使役される。

<沖縄・長崎>体験者、語り継ぐ決意新た「もっと危機感を」

独裁体制で人権が守られない国、軍が国内で大きな権力を握る国では、『仮想敵の設定・思想の統制(反対者の弾圧)』によって、建前では『国民を対話不能な外敵から保護する権力の正当化(そのための思想教育)』を図り、『反権力・自由主義者・平和主義者を無責任な非国民(敵性勢力)』として弾圧する。

集団的自衛権と徴兵制は必然的なつながりは持たないが、『野蛮・残酷な外敵と戦うために一致団結する必要性の喧伝(協力しない者の差別・排除)』が強まれば、『国家のために自己犠牲を払う事を善とする教育・メディア』となる。徴兵制を敷かなくても『好戦的な世論・仮想敵の憎悪・格差と貧困の拡大』はその代替効果を持つ。

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日本の刑事裁判における司法取引の導入検討:日本の闇社会と犯罪組織のイメージの変化

『司法取引』は、犯罪者にしか知り得ない情報を引き出す為に有効な場面はあるが、『情報の信憑性』と『犯罪者への便宜・減刑に対する反発』の壁がある。罪の減免で、犯罪者を犯罪防止・組織犯罪対策・真相解明に活用する発想。

「司法取引」導入の狙いと問題点

日本では司法取引も潜入捜査も(囮捜査の一部は最高裁判決で認められているが)認められていないが、組織犯罪の内部情報を取ったり末端の犯罪者(構成員)を出頭に向ける役割は、『警察‐ヤクザの癒着的なつながり』が代替してきた過去の歴史もある。警察‐ヤクザのなあなあな関係は、中心を温存して(裏社会を必要悪として)末端を処罰する循環構造ではあるが。

日本では犯罪や犯罪者のグループ化を根本から断つというのは不可能だという認識もあるが、昭和期までのヤクザが『社会の必要悪(反社会分子の統制)・暴力で義理を通す任侠道(極道映画のピカレスクロマン)』の文脈で語られていた影響もあるか。少なくとも、手段を選ばず壊滅させるべき対象には位置づけられていなかった。

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