「事件・事故」カテゴリーアーカイブ

栃木・那須のスキー場での雪崩死亡事故とリスク管理の甘さ:雪山登山やアウトドアに一定のリスクはあるが

自分だけの登山・訓練ならまだしも、教え子の命を預かる状況では軽率な判断である。悪天候で茶臼岳の往復登山の実技講習を中止はしたが、何もせずに帰る事を忌避する登山者の傾向が事故を招いたか。

<那須雪崩>歩行訓練開始判断が焦点 県高体連詳細把握せず

遠征登山で遭難事故を起こす原因の一つに『せっかく時間・お金をかけて現地まで来たのに何もできず手ぶらで帰るのは嫌(天気は悪そうだがギリギリ大丈夫)』という物惜しみもある。冬山は特に気象条件が悪ければ撤退が原則だが、『登山で斜面を登らず、麓付近の樹林帯でラッセル訓練なら何とかいける』の見通しが甘かった。

新聞記事の詳細な時系列では、前日午前に既に翌日の『大雪・なだれ注意報』が出ていた。午前2時には積雪2センチで降ってないが、午前6時には積雪24センチ、一晩で大量の雪が降った。わずかな温度上昇で表層雪崩が起こりやすい、上に柔らかい雪が積んだ状況になっていた。スキー場の麓近くでも雪崩は来る。

自然の冬山は危険だが、人工的に圧雪管理されたスキー場なら比較的安全という意識は根強いが、この登山講習が行われた時にはスキー場はシーズンオフで、雪面のチェック・管理の作業は行われていなかっただろう。3月の気温変化と一晩での大雪、当日の吹雪、斜面下のラッセルの条件から、スキー場に出る事も危なかった。

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愛犬家連続殺人事件(1993年)の関根元死刑囚が東京拘置所で病死:死刑執行までの期間とサイコパス的な犯罪

日本は死刑執行までの期間が比較的長く、判決時に50代以上だと拘置所で病死・老死してしまう事も多い。愛犬家連続殺人事件はカネ目当ての毒殺後の遺体処理が猟奇的で、複数の遺体を焼却し証拠隠滅を図る手口が悪質だった。

関根死刑囚が死亡=埼玉の愛犬家殺人

関根元死刑囚が利己的で凶悪な殺人犯であることは疑いないが、死刑囚も70?80代以上の健康・認知能力が覚束無い高齢者になると、死刑執行される可能性が下がる印象はある。判決の順番で執行されないのは逆に不公平にも思えるが、麻原彰晃死刑囚のように政治的意図と健康問題(ピック病)が重なる未決例もある。

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那須温泉ファミリースキー場で、春山登山講習中の高校生ら10人が雪崩に遭う:雪山・ゲレンデの危険性と雪崩注意報の重視

那須温泉ファミリースキー場という人工的に整備されたゲレンデでも雪崩は起こるが被害規模が大きい。現地の表面の雪の観察だけでは安全確保は困難で、気象庁の雪崩注意報に慎重な判断で従うべきだった。

<雪崩>高校生ら遭難6人心肺停止4人不明 栃木のスキー場

厳冬期の登山が一番危険とはされるが、残雪・シャーベットの部分と新たに降り積もった部分が交じる3~5月の北日本の雪山は『表層雪崩・アイゼンが抜ける滑落』が怖く、確実な安全登山はやりにくいように思う。5月のGWですら日本アルプスや北海道の残雪の山では毎年のように雪崩・滑落の絡む遭難事故は起こるが。

恐らく登山部かワンダーフォーゲル部とかで冬山登山に熱心な高校生も多かったと思うが、春山安全登山講習中にもっともリスクを考慮すべき雪崩遭難に巻き込まれたのは不運だ。降雪状況から雪崩注意報が出されていたならば、指導者のガイドか学校教員が安全登山の練習なのだから念を入れて中止してほしかった。

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福岡県の糸島市消防本部で40代の2人が主導した集団パワハラ問題:消防本部の上司も命令取消しの要求で軟禁状態に

福岡県の糸島市消防本部で40代の課長補佐級が扇動する消防職員13人が集団で数年にわたり、約30人の同僚にパワハラを繰り返しているとする内部告発があり、市が調査して懲戒処分を検討のニュース。上司にも命令・人事を取り消せと自宅に集団で押しかけ逆パワハラ、いじめで今まで複数の退職者が出ているという。

警察・消防という男だけの集団行動や寮生活のある仕事では、この種のパワハラ・いじめが繰り返されてきたが、『40代2名のリーダー格+それに従う11人』というパワハラを常態的に行う特定集団、内部の力関係の図式が直接報道されたのは珍しいかも。実際は消防などで内部で強い権力を振るう小グループは多いだろうが。

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現代の日本でなぜストーカーが増えているのか? 接客・芸能と擬似恋愛の要素と適度な距離感・節度

ストーカー犯罪急増は『コミュニティや結婚が衰退した現代の孤独』や『分不相応な自己愛(縁なき相手への恋愛妄想)』とも関係しているが、金銭目的の犯罪以上に特定の人に執着して諦めない犯罪というのは事前抑止も事後の反省・更生も難しい。

坂上忍、冨田さん刺傷事件に怒り「怖さも感じる」

例えば異常に執拗なストーカーの岩崎友宏被告でも、昭和期の皆婚時代・皆労働者時代なら、30歳近くになって無職で現実離れした無理なアイドルのケツを追っかけず、適当な会社に嫌々でも就職し分相応な相手と結婚させられていたため、ストーカーをしたくても時間・余力がないよう社会システムで行動統御されていた。

儒教の『小人閑居して不善をなす』とも言えるが、自由な時間・境遇を自己実現的に活用できる現代人のライフスタイルに適応しやすい人もいれば、逆に『自由であるが故に自己定位できず現実離れした人・夢にしがみついて思わぬ犯罪に走るタイプ』も出てきてしまう。強い恋愛感情の挫折には元々狂気じみた一面もある。

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森友学園の国有地払い下げ問題と過度の愛国主義教育:個人の人権と価値観を麻痺させるヒエラルキー

○森友学園の異例の国有地払い下げに、安倍首相夫妻や自民党の有力議員が対価のある口利きで関与していれば安倍政権が倒れるかあっせん収賄で逮捕者が出る恐れもある。財務省理財局のいい加減な仕事・癒着は酷いな……

“激安国有地”の森友学園 安倍夫妻と「愛国」理事長

賄賂を受け取っての政治家の口利きが仮にあったのならば古典的な金権政治の腐敗だが、政治家と役所・官僚の力関係の図式は分かりにくい。有力政治家が不正な口利きをしてきた場合、官僚がそれを聞かなければならない義務があるわけでもなく、リークや告発をされたら困るのは政治家。証拠資料まで丁寧に破棄してくれて必死に抗弁する財務官僚…

鴻池祥肇議員の取ってつけた『ガラの悪いコンニャク答弁』は、逆に政治家の介入疑惑を強めた観もある。コンニャク持参で投げ返されたカネにモノ言わす籠池泰憲理事長が『2年間でたった20万の政治献金』でしつこく陳情に来るのは腑に落ちない印象もあるが。 鴻池氏は公人・議員としての会見で言葉遣いが乱れ過ぎだろう。

上西小百合議員も醜聞や問題はあるが、塚本幼稚園の幼児教育の方針・実態を視察して、『異様』と判断しブログにアップしなかったのはまっとうな判断ではある。籠池理事長は自民党に国有地値引きのあっせんを求めつつ、自民・安倍政権を幼稚園児に礼賛させていて、子供を自分の学校ビジネスや政治信条の道具にしている。

『愛国心』を高揚させるための戦前回帰や教育勅語の何が問題なのかと籠池理事長やそれに賛同する日本会議・安倍政権のメンバーは言うが、一般庶民が言うならまだしも政治・教育の権力を握る人物が戦前回帰を求めるというのは『一般国民の人権・自由が邪魔(とにかく権力・自分たちに黙って従え)』と言っているだけである。

愛国心は個人の自発的な『郷土愛・歴史認識・自己同一性』のためなら正当化され得るが、権力者がトップダウンで愛国心・自己犠牲を押し付ける事には往々にして『国民の道具化・使役化』や『排他性と仮想敵・戦争の不可避(庶民が犠牲になる戦時体制)』と結びつくリスクがある。錦の御旗を掲げるならず者が増える。

森友学園の籠池理事長の『政治癒着の不正な学校ビジネス』や『子供を政権支援の道具(長州藩士の出し物で安倍首相に媚びる)にする教育手法』から見て、理事長のいう愛国心・道徳観が如何に『自分を度外視した政治的・操作的なものか』が知れる。絶対服従すべき天皇・国家の名を使って自分を代理人かのように大きく見せる。

愛国教育の何が問題かの問いを、ふんぞり返った強面な態度や上からの横柄な物言いでする極右的な人の存在が『愛国教育の問題=天皇・国家の価値を使って自分を代理人に仕立てて誰も逆らえなくする』を浮き彫りにしている。教育勅語を肯定するならまず自分が儒教的な士の徳を磨くべきなのに、人を尊重せず荒い言動が多い。

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