「社会」カテゴリーアーカイブ

北陸道バス事故:長距離夜行バスの低価格・労働実態・リスク

バスの車体が防音壁に衝突して真っ二つに割けるような関越道の高速バス事故が発生したことで、『長距離高速バスの規制強化』が行われたが、それでも今回のようなバス事故(予測困難な居眠り・発病・発作などによるバス事故)を完全に防ぐことはできないだろう。

大型二種免許を所持する運転手が運転するバスもまた自動車の一種であり、人間が運転する自動車の事故がゼロには決してならないように、バスの事故も『運転ミス・貰い事故(他車の衝突)・体調悪化・発病や発作・睡眠不足・整備不良(部品劣化)・運転手の過労状態』などの各種のリスク要因によって引き起こされる確率がある。

公共交通手段の安全性の高さは、『航空機・鉄道(JRなどの列車)・バスやタクシー(自動車)』の順番で低くなるが、長距離夜行バスは何といってもその低価格が人気となっており、同じ距離を飛行機や新幹線で移動するよりも半額以下の価格で行くことができる。安全性の高低は、一般道を走る路線バスやタクシーなどでは殆ど意識する必要はないと思うし、実際に一般道の路線バスの死亡事故(怪我するような事故は稀にあるが)というのは滅多に起こらない。

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千葉県柏市の通り魔事件と不特定多数(誰でもいい相手)に危害を加えようとする犯罪類型

ニュース映像にあった現場の大量の血溜まりから犯行の悲惨さが伺われるが、カネ目当ての『強盗殺人』というよりは、精神状態の異常な興奮や攻撃性に基づく『無差別殺傷』に近いような印象を受ける。

31歳会社員の生命が失われる被害があったが、人通りの少ない深夜の住宅街の道路でなければ、より被害者数が拡大していた恐れもある。最初に声を掛けられた自転車の20代男性は、即座に逃げるという咄嗟の判断によって助かった(切りつけられて軽傷を負ってはいる)というが、その後の殺害状況から明確かつ強力な殺意の存在がうかがわれることから、加害者に言われるままについていけば不意の一撃で命を落としていた恐れもある。

加害者がいまだに捕まらず逃走を続けていることは、周辺住民にとっては非常な不安・脅威でもあるが、『公開されている外見・服装の特徴(サングラス・ニット帽・マスク・黒のダウン)』は、少しでも時間が経てば、全く犯人追跡の役には立たないものばかりである。

コンビニの防犯カメラに犯人の姿が映っていたとされるが、サングラスとマスクをしたままだと顔は分からない。それ以外の防犯カメラとの照合で逃走経路をつないでいったり、盗んだ車を乗り捨てた後の目撃証言がでるか、容疑者の周辺からの情報提供がないと逮捕まで漕ぎ着きにくいと思うが、新たな通り魔事件を犯す前の時点での検挙が至上命題ではある。

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三重県四日市市の女子中学生殺人事件:高校生の容疑者のツイッター上での間接的自白

昨年8月29日、三重県四日市市で花火大会から自宅に帰る途中で、中学三年生の寺輪博美さん(当時15歳)が殺害された事件は、何の手がかりもないまま半年以上の歳月が流れていたが、高校を卒業したばかりの18歳の容疑者が逮捕されるという急展開を見せた。

逮捕の決め手になったのが何だったのかについて様々な推論・憶測が為されていたが、報道を通じた警察の発表によると、寺輪さんが殺害される直前に立ち寄った深夜営業のスーパーで、寺輪さんを見ている(あるいは寺輪さんに追従して店を出た)容疑者男性が映っていたことが、『人物特定』を中心とする詳細な捜査のきっかけになったというような話もあった。

午後11時過ぎの時間帯、深夜営業のスーパーにいた客の数が相当に少なかったことが捜査を後押しした側面もあるが、犯人の高校生がスーパーや犯行現場の近くを生活圏としていたこと(車で遠い地域にまで出て犯罪をしたわけではないこと)が人物特定をより容易にした。

寺輪さんの近くでスーパーの監視カメラに映っていた人物の特定が終わっただけでは、当然容疑者として有力視されるまでにはいかないだろうが、『周辺の聴き込み調査』で容疑者宅にも警察が訪れていたことが、容疑者本人のツイッターでも明らかにされており、段階的にアリバイの虚偽が暴かれ容疑が固められていったのだろう。

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慶応大生による自殺教唆事件:『言葉の暴力』で限界まで追い詰められてしまう人・精神状態

自殺教唆というのは非常に発生率(逮捕件数)の少ない犯罪であるが、それは通常、『自殺しろ(自殺したほうが良い)』などと人に言われても、素直にその言葉に従って自殺する人が極めて少なく、また他人に自殺を意図的に教唆しようとする人も少ないからである。

自殺教唆容疑で慶大生逮捕=メールで繰り返し「死ね」―交際女性飛び降りる・警視庁

この事件では、別れ話を持ち出した女性のほうが、振られた男性(別れを告げられた側の男性)から自殺を教唆されて飛び降り自殺を決行していて不思議な感じもするが、元々、この容疑者男性と恋愛をしている最中から、『自殺をしてもおかしくない弱った抑うつ的・自己否定的な精神状態』にあったか、何度かの自殺未遂(あるいは自殺企図にまでは至らない自傷行為・希死念慮の打ち明け)などを起こしていた可能性が想定される。

別れの原因が何だったのかは不明であるが、容疑者との恋愛関係におけるDV・モラルハラスメントの可能性も含め、『付き合っていること(相手の言動・態度)による精神的な不安定さ・混乱・自己否定』があって、別れ話を切り出す時点で相当に精神的に不安定だった(それ以上の精神的攻撃やストレスを受けると持ちこたえにくい精神状態だった)のではないかと思う。

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『現代のベートーベン』という佐村河内守のキャッチフレーズや聴力の喪失が、

虚偽に基づくものであっても、その作品自体のクオリティや人間性の評価は別であると思うが、近親者である妻の母からここまで完全に信用されず非難(否定)だけをされる人柄・生き方というのもまた問題が大きいことの現れではあるのだろう。

16年間も母にまったく会いに行かないというのも異常ではあるが、佐村河内氏との結婚の影響と合わせ、妻とその母親の親子関係自体が初めから余り良くなかった可能性もある。

端的には、享楽的な仕事嫌いの遊び人としてのキャリアが長く、佐村河内氏が結婚してから7年間で20万円しか稼がなかったというのは、ほぼヒモとしての生活を成り立たせていたということだろう(記事になっている範囲では専業主夫としての仕事をこなしていたというようなこともなさそうではあり)。

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小学校教員の男子児童に対する事件に限らず、

子供を狙った性犯罪や未成年者略取・逮捕監禁などの事件が、ここ数ヶ月で何件か連続して続いた。神奈川県相模原市で、犬の散歩をしていた小学5年生の女子児童が行方不明になった事件も発見当初は『何も覚えていない・何があったか分からない』と本人が語っていたが、その後に略取・逮捕監禁事件であったということが伝えられた。

ピザの宅配記録や東京町田市の地域で夕方に流される音楽などの手がかりから、容疑者の30歳の男が浮上して逮捕されたというが、保護された当初は事件のショックやトラウマから何も話せない心理状態に追い込まれていた可能性が高く、事後的な心理ケアやカウンセリングの環境整備が求められる。

少し前にも北海道札幌市で似たような事件が起こって、小学校3年生の女子児童の行方が分からなくなり心配されていたが、26歳の男に監禁されていた部屋に警察が乗り込んで無事に保護されることになった。少女漫画や食料品の買い込み、監視カメラの画像解析などが手がかりになったというが、それだけで犯人だとしぼり込むのは難しいだろうから、以前からその周辺地域において何らかの関連する犯罪歴か目立つ行為があった可能性もあるだろう。

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