「仕事・雇用」カテゴリーアーカイブ

業務が多様化するコンビニバイトの時給は安いのか?:給与に反映されにくい忙しさ・接客スキル

昔のコンビニバイトは商品を精算する『レジ業務』と『商品陳列廃棄』が中心だったが、現在は多機能レジを使った『顧客の多様な要求処理』で仕事量・業務内容が増えている。

コンビニバイトは割に合わない? 「業務が多様化しているのに時給がそれほど変化なし」

スーパーは今でも顔を見ずにレジ打ちしてるだけな感じだが、コンビニにせよカフェにせよ最近のバイトは『サービス業としての要求水準』が高まった為か、昔たまにいた『無愛想な店員・やる気なさそうなバイト』は余り見かけなくなった。GS(ガソリンスタンド)も凄い笑顔での接客…賃金に関係なく感情労働が増え、働く側は大変になったかも。

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残業220時間で固定残業代わずか7万円のしゃぶしゃぶ店を提訴:明らかな労働基準法違反

飲食は人件費節約で、店長格を『営業時間の全時間帯(ワンマン・前準備・後片付け・精算含む)』にわたり配置する悪慣習もあったが、超長時間労働は過去に何度も死者(自殺・過労死)を出している。

「残業220時間で7万円は不当」しゃぶしゃぶ店を提訴

非ブラック企業に転換した飲食事業者は、バイトの中から信頼できる責任者を育成するなどして、複数人の管理体制を構築することで、正社員・店長格の実労働時間を法定労働時間である『8時間+α』の範疇に抑えている。チェーンでは朝6時~深夜2時のような営業時間も多いがその全時間帯に出勤する人員を出してはいけない。

営業時間が24時間に近いような店舗では、店長や店長同等の仕事内容をこなせる人員を複数名育成し配置しておくことが必要であり、特別に高度な経験・スキルが必要なわけではないから、バイトの中からシフト管理(対人調整)ができて責任感の強い人材を選び、時給割増の対応で配置しておくべきだろう。

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現代社会ではなぜ『労働意欲の低下』が起こりやすいのか?:資本主義経済のモチベーション停滞

子ども時代の親の影響? 「できれば働きたくない」という若者たち

2000年代に入る頃から、ニートやひきこもり、無職の増加などが社会問題としてクローズアップされ始め、『アパシー(意欲減退症候群)』や『モラトリアム(自己アイデンティティ拡散・職業選択の遷延)』、『自己愛の肥大(甘え・社会と自意識の乖離)』などのキーワードで労働意欲の低下が語られてきた。

人間の働く意欲というのは『本能的なレベル』では限られていて、『生存+α』のほどほどのレベルでしか働かないことが多く、ジャングルが生い茂っていた石器時代の狩猟採集文化の実労働時間は、わずか2~3時間ほどであった(ひとり当たりの土地の占有面積の広さ・乱獲されていない生物資源の多さから短時間で餓死せずに食欲を満たす程度の収穫物が得られた)という推論も出されていたりする。

江戸時代も農民の労働時間はそれなりに長かったが、都市で暮らす人々の生活・労働は『その日暮らし(貯蓄・贅沢を追求しない)』であったため、朝から晩まで残業までして必死に働くようなハードワーカー(生粋の労働者階級)はほとんどいなかったとされる。

労働時間の長時間化を引き起こした要因は、『農業(農作業)』と『工業(工場労働)』と『企業経済』であるが、皮肉なことに人類の経済的な豊かさと文化文明の発展も、これらの大勢の人々を労働力として動員・要請する『農業・工業・企業経済の発展(生産力の余剰・新たな商品と価値の提示)』に支えられてきたのである。

これらの産業と労働がなければ、人類は石器時代の動物的本能に従って生きる狩猟採集文化(財の蓄積・モノの進歩がなく短命で同じ生活を繰り返すだけの文化)の段階に、更に100万年以上は縛り付けられていただろう。

農業も貨幣も知らない類人猿から分岐した猿人(人類の共通祖先)の歴史は実に約300~400万年も続き、ホモ・サピエンス・サピエンスとしての現生人類が登場してからも約100万年以上は石器時代の狩猟採集文化の生活様式を延々と繰り返していたのだから、人類は気の遠くなるような時間をほとんど進歩せずに生きてきたといえる。

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高学歴ワーキングプアはなぜ生まれるのか?:学歴や学力と稼ぐための意志・能力・適応

高学歴は会社員・公務員のサラリーパーソン上層のパスポートにはなるが、学力・研究能力自体はビジネスや企業適応とは関係がない。修士博士の学位は医師・法曹・エンジニア・科学者でなければ、企業・団体の需要が余りない。

京大院卒でゴミ収集バイト。なぜ高学歴プアという現象が起きるのか?

大学院は建前の上ではアカデミシャン(大学人・研究者)や高度なスペシャリストを養成する研究教育機関だが、米国のビジネススクールなど例外を除いて、市場経済や企業社会への適応性を高めることを目的としていない。民間では自分の専門が企業の研究開発部門にマッチしなければ、院卒は学卒より採用されづらい。

特に文学・哲学・史学・社会学などの文系分野の大学院は、企業のビジネスや利益になる研究開発部門とは殆ど無縁だ。高度な文献学・教養・思考能力に基づくリベラルアーツや言語的能力は人生を豊かにしてくれるが、それが企業で特別に求められる場面は、一部の教育産業を除き想定しにくい。教員・講師での応用はできるが。

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佐野研二郎氏の東京五輪エンブレムの模倣疑惑:『コネ・著作権』の絡むデザイン・芸術・創作の仕事の特殊性

佐野研二郎氏の東京五輪エンブレムの模倣疑惑は、『デザインの模倣事例の続出』で問題が拡大しているが、この問題は表面的には『一人のデザイナーの倫理観・アイデア・著作権違反の問題』だが、根本にあるのは『閉鎖的なデザイナーの世界の選考・評価の曖昧さ』と『実力・コネの不可分性(非実力主義の要素)』だろう。

膨大無数のデザインやアイデアがウェブに溢れるウェブ社会で『著作権法の形骸化(オリジナル性の多数化・編集化)』が起こっていて、音楽を筆頭にかつての著作権ビジネスが斜陽期に入った影響もあるが、この五輪エンブレムは『巨大な国策による東京五輪利権の末端』で発生した杜撰な仕事のやり方の問題である。

東京五輪エンブレム審査委員会は、電通に次ぐ広告代理店・博報堂の人脈が関係していたとされる。佐野研二郎氏が大手案件を獲得してきた背景には、博報堂のキャリア・人脈と親族のプッシュも影響しているが、逆にそういったメディア・広告・大企業の人脈に食い込まないと、意匠のデザイン一本で生計を立てるのは至難である。

デザインや芸術の世界は、センス・実力・才覚があれば公正な競争を通して評価される単純なものではなく、どのデザインや絵が優れているかを客観的に評価することが出版部数のある漫画等より難しい。『業界・権威的有力者のお墨付き』と『大組織の利権・人間関係でのポスト』を得るとやっつけ仕事や丸投げになりやすい。

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就活の後ろ倒しでは軽減されない学生の負担と新卒採用キャリアの人生設計への影響度

就職活動の長期化によって、学生が本業の勉学に専念できなくなったり、長引く就活の精神的ストレスで疲弊したりといった問題が長年指摘されてきた。経団連はそういった就活関連の批判・苦言に対処する方策として、『就活の後ろ倒し』を提案してきた。

経団連加盟の上場企業は、就職説明会を12月から3月に、実際の採用試験・採用面接を4月から8月にずらしたが、これは飽くまで『経団連加盟の大企業』に限定された弥縫策ではある。

特別な専門家・資格職を除いて、新卒一括採用と企業内教育(大学の教育内容の無評価)によって、オーソドックスなキャリアパスを積み上げていく日本企業の雇用慣行は、特に年次主義の残る大企業において顕著である。

なぜ就活がここまで激化するのかの理由は、新卒段階で入社していなければ『非専門職・非即戦力(他社で相応の技能・職責・実績を積んだ者)以外の中途採用の門戸』は非常に狭いか閉ざされているからである。

総合職的な企業の各部門の中枢に近づける昇進・昇給のある働き方を求めている学生の多くは、『就活・新卒採用枠』にこだわらざるを得ない長期的キャリアに影響する慣行があるため、就活時の競争圧力や将来不安も関係するストレスは強くなってくる。

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