「経済」カテゴリーアーカイブ

無料低額宿泊所で年間150人死亡、日本の高齢者の貧困と孤立

今、50代以下の人が公的年金が減額されたり家族・地域から孤立化したりする『老後の客観的現実』を見据えて構えるなら、無料低額宿泊所の屋根の下で衰弱死する事もまだ文明的な死と言えるかもしれないが。

<無料低額宿泊所>年150人死亡…東京・千葉 滞在長期化

『老衰・貧困・孤立』のコンボは、50代の壮年期までバリバリやって強気でいられた(いざとなったら自死する等)人でも70代以上の『その時』になってみないと分からないつらさである事は確かだが、自我意識・関係性・状況把握の明晰さを失う認知症もまた、人によっては老苦を和らげる生体防御機構の一つとも解釈できる。

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上西小百合議員の『格差・貧困』を軽視した『給付型奨学金反対』の富裕層発言:日本の社会階層の分断と少子化の一因

この給付型奨学金反対=貧乏人は中卒で働けの文脈で『違います。家が裕福でしたから大学まで行きました。それどころか3000万以上の貯金も~』と語れるのは神経が太いが、政治家としての資質欠如やアスペルガー的な他者への無関心を感じる。
上西小百合氏、最大級の炎上「給付型奨学金大反対」

上西小百合氏の専門・業績やインテリジェンスの高さは知らないが、『あなたは中卒高卒で稼いで私立大学に行ったのかの質問の意図』を理解していない意味で、現代文のリテラシーや他者の意図の推測(コミュニケーション力)は低いように感じる。『本当に勉強したいなら社会に出て大学に行け』も日本の経済階層の理解が弱い。

政治家として『格差問題や教育機会の保障・長期奨学金返済の問題』といった課題に、私は貢献しません自己責任ですという宣言をした意味で、上西小百合氏の支持層の何割かは離れるのでは…上流階級が庶民階層の苦労・負担を『大したことないでしょ・自分でどうにかすればいいじゃない』では政治家になるべきではないだろう。

日本の人口動態や少子化未婚化なども『広義の教育機会・社会資本・雇用と資産の経済力の格差』からの帰結(悲観的な将来予測)であり、上西小百合氏のように政治家が『自分でどうにかすれば・お金がない家に生まれて残念だったね』でいいなら、政治家という職業を自己満足・権威のために選ぶなという話にしかならない。

上西小百合議員の発言から『階層格差・政治家の資質』について書いたが、マイミクさんの意見に『学校に行かせられないなら子供を作るべきでない(育児責任と教育付与の密着性)』と『親の経済力・コネで規定されやすい(流動性低下)』があり、現代人の人生先読みの閉塞や野性の去勢、AI社会構想の背景にも重なる視点か。

『機会の平等』『身分・階級・暴力の廃止』は近代社会の目指し続ける公平原理だが、厳密には遺伝子レベルや親子間の愛情(他者よりも血族を優遇)を考えれば『実現困難な公平原理』だ。現時点でも『所与の不公平』は解決できないが、構造の知により不公平・理不尽・被管理を生き抜き再生産する『野性』の去勢が問題化した。

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行動経済学の『プロスペクト理論』から考える人生哲学・幸福論:貧すれば鈍するのはなぜか?

恵まれた順境にある人がますます利益を固め、厳しい逆境にある人がますます損失を拡大しやすい経験則を行動科学で証明したのが、カーネマンとトヴァルスキーらの『プロスペクト理論』だが、『利益確定・損失回避の傾向』に抗って良い結果を得るのは実際はかなり難しい。株式相場の『まだはもうなり・もうはまだなり』は人生哲学を織り込む。

株式投資ではインサイダーでない限り、誰も特定銘柄の相場における天井(最高値)と底(最安値)を事前に特定できない。『頭(最高値)としっぽ(最安値)はくれてやれ』という格言はその事を意味するが、損する投資家の多くは『まだ上がるの頭の追いかけ=迷い』と『もう下がらないのしっぽの決めつけ=拙速』で失敗する。

『良いこと(利益を得られる事態)が起こった時』に人はリスク回避で失敗しにくく、『悪いこと(損失を被る事態)が起こった時』に人はリスクテイクして失敗しやすいというのは、一般に『貧すれば鈍する』『ギャンブラーは総じて負ける(勝っていればギャンブルを早めに手仕舞いする)』という現実の一断面を示唆する。

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『時給制のアルバイト・月給制のサラリーマン』より『成果給(実力主義)の自営業・自由業』のほうが有利とは通常言えない

破格の投資家・起業家・技術者なら1日数時間の労働で高額収入も有り得るが、自営業・自由業の大半は平均的なサラリーマン・アルバイトより1日の労働時間は長くストレスも強い。収入・ビジネスの継続に不安もあるので、一般に月給制の方が貧困化しない。

「時給や月給で働く人」が貧困化する理由 (19時間前)

自分や少数の人にしか生み出せない付加価値があり、書籍・音楽の印税や大規模なサイト構築・アプリ開発のように一度の成功で継続的な収入(生涯賃金相当)が入るとか、長期持続する特別なビジネスモデルや商材を持っているとかなら雇われるより自分でやるべきだが、徒手空拳の人なら雇用・月給以外に安定収入は得づらい。

雇用形態ではなく仕事の意識の面では、『時間にこだわらない好きな仕事』ができるほうが仕事の遣り甲斐は確かにあるだろう。時間に囚われて働く人は『今日は〇時までの意識』があり、時計を見ながら早く終わらないかなの気分になりやすいが、仕事を生活手段として割り切る人はどうしても多くなるだろう。

完全出来高制の自営業・自由業はとにかく格差が大きな世界で、開店休業状態の自由はあるが低所得の割合も多いわけで、日本の中流階層の大半は大企業や公務員のサラリーパーソンである。組織に属さず年収500万以上を稼ぎ続ける事は(世襲・信用・顧客引継ぎのない)ゼロからだと中堅サラリーマンになるよりハードルが高い。

月給制のサラリーマンは確かに毎日通勤して長時間の拘束・管理を受けなければならない意味では『不自由・窮屈』だが、逆に会社に行けば毎月の収入・社会保険が保障されている状態は、個人事業ではあり得ない。『他律の拘束・管理』と『保障・安定』はセットで、通常は後者を失う恐れが強く、収入ゼロなら生活できない。

記事では『労働時間に関係なく成果でお金がもらえる人になろう』というが、会社・組織に属していない個人で『実際に売れるモノ(高く売れる・長く売れる)』はかなり限られてくる。確かに、1つ成功すれば数百万の収入が振り込まれるような付加価値なら収入に波があっても良いが、それだけの売り物や能力があるかである。

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トマ・ピケティの『21世紀の資本』から見る経済格差の拡大, 仕事のトラブルで18歳少年が殺害の事件

〇トマ・ピケティの『21世紀の資本』では労働価値に対する投資価値の成長率の高さが格差要因で問題視されるが、『売却益・配当金』だけでなく『貸株制の収入』も大きい。貸株は約1000万で月1万程度の収益を生む。配当金も含めると数千万単位の金融資産で基礎年金相当になり富裕層との格差は累進課税なしでは縮まない。

政治家の個人資産報告でも預貯金を限りなくゼロに近づけて、JR・自動車・資源だの不動産・電力・ガスだの親族経営陣も絡む株を何十万株も保有する人がいて、『自分は庶民と変わらないわずかな貯金しか持たない風』を装う。だがJRや三菱地所等の株を10万株単位で持てば、それだけで議員報酬外で生活費以上の収益が入る。

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日本の格差拡大・経済階層とトマ・ピケティの『21世紀の資本』:日本で資産1億円超の富裕層増加

昭和期には高度経済成長が見せた一億総中流の幻想があっただけで、元々日本には一定の経済格差がある。数十億円以上の資本家・創業一族(政官財の有力者一族)・財閥系の巨額資本は崩れておらず、先祖代々の超富裕層の顔ぶれも大きく変わっていない。

資産1億円超の「富裕層」が増加中、なぜ?

確かに昭和期の学歴・就職による階層流動化はあったが、それは庶民が一流大学に行き大企業の社員や官庁の公務員となり40年間勤め上げれば、この記事でいうアッパーマス・準富裕層になれる流動性である。政官財の歴史・資本・人脈に張り巡らされている閨閥のある富裕層以上にまで上れる庶民など数える程しかいなかった。

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