保守派を自認する安倍政権にとってリベラルな今上天皇が「戦後レジーム・戦後民主主義の代弁者」になっている構図はシニカルだが、日本にとっての象徴天皇の位置づけは歴史・民意の結節点になりやすい。
<天皇陛下>82歳に 戦後70年「先の戦争を考えた1年」
“改憲・安保法制(集団安保)・歴史教育(大東亜戦争の評価)・沖縄基地問題”などは、確かに安倍政権の特徴の一つで、多くの政治対立の原因となっているが、日本の時代精神や外交・世論が180度変わる時には、当代の天皇陛下ではないにしても、今上天皇の発言・価値観にも何らかの変化が見られるはずだ。
天皇の治世が『元号(明確に区切られる歴史的時間軸)』と共にあるという『時間支配の記号化(数値化)』は、世界的に見ても世襲王朝が断絶した民主国家ではかなり特殊な遺制だ。昭和の戦争が大東亜戦争を想起させるように、日本人の時代感覚・価値・記憶と元号は現状では西暦以上に切り離せない所与の時間概念である。
天皇陛下本人が老いの影響を折に触れて述懐されているが、天皇が崩御するまで『元号』が続き、原則引退できない慣例は健康・人権の観点からも改める必要がある。明治以前の天皇は上皇・法皇になる事ができたが、近代日本は院政の歴史等から『最高権威の分裂・万世一系の乱れ』を警戒し、元号・天皇の唯一性を強調した。
続きを読む 天皇陛下のリベラルな平和主義思想と元号、 冬ボーナス、東証一部上場企業の平均額は89万6,279円だったが…。 →
液晶と有機ELのパネルでは有機物が直接光る有機ELはLED光源が不要なので「薄型化・省電力・曲げやすさ」等で有利だ。だが有機ELの供給では韓国のサムスンとLGが量産設備を持っているため、日本のシャープやジャパンディスプレイは質量共に対抗が難しい。
「iPhone 8」は有機EL採用? 日経報道
iPhoneはAndroid端末よりも世界シェアは低いが、Androidで最も売れていて出荷台数ではiPhoneを超えるサムスンのGalaxyは既に有機ELパネルだ。年間出荷台数2億台のiPhoneを有機ELに変更させ販売できればLGよりスマホ市場では優位なサムスンが莫大な利益を上げる可能性がある。
開発年代の経緯から有機ELは液晶に次ぐ次世代パネルとして、巨額コストをかけて開発された。日本企業は有機ELの実用化と量産体制のコストを惜しんで(しばらくは液晶との性能差も小さいとして)、サムスンとの直接対決を回避した…有機ELの弱点は経年劣化が液晶より早い、ここが改善されると液晶市場は縮小する。
続きを読む “iPhone 8”にはサムスンの有機ELディスプレイを採用か。シャープの『最先端技術の液晶』の苦戦が続く。 →
米国FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長が、リーマンショックの金融危機を挟み、9年半ぶりに政策金利の引き上げに踏み切った。
米国経済の指標が『雇用・所得・物価』において改善傾向を長く示し始めたことから、『異例のゼロ金利』による景気刺激策を終えることを決断したが、世界経済・為替相場の中心にあるアメリカが日本とEUに先駆けて『異例の金融緩和措置』を終えたことは、逆に米国経済の正常化・成長期待としてプラスに評価される。
お金を借りやすくして企業の経営・投資を支援するために、金利なしでお金を貸すというゼロ金利政策は、資本主義経済においては異例の緊急措置(ローンで金利収入がほとんど入らない+預貯金にほとんど利息がつかない)である。だが、近年は先進国の景気停滞からゼロ金利のほうが常態となる異常な様相を呈していた。
政策金利を急激に上げれば景気引き締め・金融縮小のショックが大きすぎるが、イエレン議長はまず年利0.25~0.50%から緩やかに景気動向を見ながら引き上げていくと発言したことから、世界の市場は極めて好意的に反応した。これに『雇用+所得の上昇』が加われば個人の金融資産と購買力が上昇するから、市場全体に大きな消費促進のインパクトを生むこともできる。
続きを読む 米国の利上げの決定と米国経済の堅実な成長路線・ドル高への転換:好景気を予感する米国市場と不況に喘ぐロシア・新興国 →
日本の雇用は『新卒採用+企業内キャリア』がメインで『企業外の学校・資格・経験』を重視しないメンバーシップ型である。スキル・成果による給与差は小さい。
「人材のミスマッチ率」が世界最悪の日本 企業が大学教育を軽視し、高スキル人材を厚遇しないから?
日本は大企業ほど『個人の突出したスキル・成果・発明価値(特許価値)』などを金銭面では評価しない。中村修二(カリフォルニア大教授)の『青色LED訴訟』では、青色LEDの発明対価は約600億円と計算されたが、勤務していた日亜化学工業はその発明に対して2万円しか報奨金を払わず訴訟の泥試合になった。
日亜化学工業は、会社が中村修二の『青色LED開発に必要な留学・環境・資材・安定給与』を保証していたからこそ、この研究が実を結んだ、中村氏個人が会社のバックアップなしで研究していても成果は出せなかったはずというもので、日本の平均的サラリーマンの研究者で通常の知財ならこの言い分が通るケースの方が多い。
日本のサラリーマン研究者は『発明対価の高額請求』より『終身雇用の安定』を選ぶからで、数億円以上(生涯賃金以上)もの価値がある発明ができる人材は殆どいないからだ。日本の雇用は、一度正規メンバーとして採用すればよほどの理由がない限り馘首しない『メンバーシップ型雇用』でそれが『スキル型雇用』を抑えてきた。
メンバーシップ型雇用とは、かつての日本企業の経営手法が『家族主義経営』と呼ばれたように、企業全体を擬似家族的な共同体のように見なし、一度正規メンバーにしたものを容易には切り捨てない代わりに、『最大限の忠誠心(副業禁止・長時間労働・会社を第一とする人生設計)』を要求するというものである。
続きを読む 日本の労働市場・雇用制度ではなぜ『人材のミスマッチ』が起こりやすいのか?:メンバーシップ型雇用の歪みの拡大 →
新型プリウスのインダストリアルデザインの記事を読んだ。『低重心化・空力特性』によって、座席を低くして頭上空間を確保し、側面からのトライアングルシルエットの頂点を前に17センチ戻したという。SUV的なコンフォートより理詰めのスポーツデザインか。リアランプの点灯時の個性、ワンモーションフォルムの変更等。
2~3代目のプリウスのデザインの一貫した特徴として、ボンネットとフロントガラスの境界線に段差をつくらずに流れるようになだらかな直線で結ぶ『ワンモーションフォルム』がある。4代目はこのフォルムをやめて他車と同じく段差を作ったが、低重心化とフロント延長の影響という。フロント延長は取り回しを犠牲にするが。
ヘッドランプは新規性があるとも奇抜とも言えるが『トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)』では走行性能とダイナミックなデザインを重視。シエンタやプリウスα等のヘッドランプとフォグランプとのS字型の一体感のあるデザインを踏襲した感じか。レクサスのスピンドルグリルも好き嫌いが分かれるが。
続きを読む 4代目プリウス(新型プリウス)のインダストリアルデザインや市場の評価予測についての雑感 →
営業職で9~18時の虚偽の勤務時間を求人票に掲載しても罰則はないが『採用前の虚偽+採用後の同調圧力や習慣』でブラック企業の環境は正当化される。長期雇用・年功制・健康配慮なしのブラック条件に反発が強まる。
社会的制裁を!「ブラック企業大賞」の功績と課題
1ヶ月間休みゼロ、毎日12時間以上の拘束とかのブラック企業では『身体・精神への負担の度合い+仕事の立場や姿勢』によっては過労死リスクがある。逆に小規模な会社の幹部等で『時間の使い方の裁量権』があり『自分が好きでやっている順調な仕事』なら毎日12時間超のハードワークで休まなくても平気な人も多い。
続きを読む ブラック企業の過酷さと自分の仕事に対する納得感の違い, ちょっとしたポニーテール論 →
政治経済・社会・思想の少し固めの考察から、日常の気楽な話題まで!mixiの日記・つぶやきのログも兼ねてます。