1995年からインターネット時代が到来したとされるが、2010年からはデバイスがパソコンからタブレットやスマートフォンに転換されるようになり、より様々な年代・属性・地域の人がインターネットにアプリを介してアクセスする『本格的なネット時代(ウェブ社会)』が幕を開けた。
寸断されない分散ネットワークの軍事技術から転用されたインターネット(WWW)は、産業革命クラスのイノベーションであり、人々のライフスタイルや情報環境、価値観に非常に大きな影響を与えたが、産業革命との最大の違いは『経済成長・雇用増大・所得増加のインパクトが弱い情報革命(コミュニケーションと情報を巡る精神活動・人間関係に影響が大きくでた革命)』という点にあった。
インターネットは効率化・合理化を急速に推し進めて生産性・利益率を高めたが、その多くは『人的労働力を必要としない生産性の向上』であり、ITSの技術革新はそれに追いつくことのできない大多数の潜在的な労働力を置き去りにしてしまっただけでなく、『従来の仕事の単価』をアウトソーシングとクラウドソーシング(ウェブ上におけるタスクごとの個別契約)が大きく引き下げた。
更には、ウェブ上にアップされ続ける『膨大無数なコンテンツ+物理的制約を超えたコミュニケーション機会』が、お金のかからない“フリー経済”の領域を拡大して、プロバイダ(キャリア)の固定費さえ払えば終わりなく情報・コミュニケーション・ゲームの娯楽を享受し続けられる特殊な非物理的環境を整えた。
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有り得ない前提だが、物価据え置きで全員の給与だけがグンと上がると、『お金』と『時間』の価値が完全に逆転するだろう。生活が楽にできるだけの一定以上の収入になると、その金額の差異や格差感には実質的な意味がなくなる。ここまで極端ではないにしても、現在でも労働時間の拘束・負担に照らして収入が少ないという問題は深刻になってきている。
○“消費税増税・低所得者対策(軽減税率・給付金)”と庶民の暮らしの負担感:1
そうなると社会全体の労働供給が減る代わりに、『個人消費』が逆に強くなりすぎて、ディマンド・プル型のインフレがエスカレートしていき、結局、みんなが物を買えないような異常な物価上昇に悩まされることになる。
その意味では、最近言われている『個人消費の落ち込み』というのも、半ば必然的な市場原理の結果であって、『個人消費の異常な強さ(みんながプチセレブになってどんどん物・サービスを買おうとして働く時間を惜しみ始める)』のほうがハイパーインフレや労働供給不足(キャリア・スキルの停滞による社会全体の技術水準低下・チャレンジする経営者や技術者の枯渇)という経済破綻のリスクを織り込んでいる。
生産コストや労働力の再生産を含む市場原理は『すべての人が楽に買い物ができる物価水準を許さない=楽に買い物できると供給不足が起こり必然に値上げし始める』からであり、資本主義経済で社会が運営される限り、『庶民の暮らしの負担感が特別に軽くなるという事態』は有り得ないというか、『お金をある程度苦労して稼いで簡単にはポンポン使えない状態(お金にはみんなが出し惜しみする程度の価値があるという共同認識)』を維持するルールを前提にして経済が回されているのである。
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アベノミクスによる異次元の金融緩和によって、国債残高を積み上げながらも消費者物価指数がじわじわと上がり、一部の上場企業では賃上げの機運も見え始めた。1,000兆円を突破した公的債務残高の増加は『長期金利の上昇リスク』であり、日本の国債の信用力が低下することによって財政政策と社会保障が維持できなくなるというリスクであるという点に留意しておきたい。
安倍政権はデフレ脱却のための物価引き上げ目標(インフレターゲット)を2.0%に設定しているが、政策的なインフレ誘導は別に『景気回復・賃金上昇』を約束するものではなく、原則としては『物価の上昇による売上高の増加』を起こすというだけである。
円安と資源高騰によって、『食料品・ガソリン・電気・ガスの値上がり』が起こっており、消費者の負担感は既に消費税数%に相当する程度に上がってきているが、その負担感を上回るだけの『所得上昇・雇用増加』は殆ど起こっていない。数字上の景気回復と庶民の暮らし改善の実感の乖離があるところに、2014年4月の消費税8%が待っているため、常識的に考えれば『個人消費の落ち込み』は回避できず、賃金上昇があるにしてもタイミング的に間に合わないだろう。
アベノミクスの成長戦略は基本的に、『法人税減税・経済特区・設備投資減税・復興特別法人税廃止』に象徴されるように、企業の業績回復と株価上昇を集中的にバックアップすることでその利益の上昇部分を労働者に配分させようとするものだが、ここには二つの『所得上昇の壁』がある。
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個人的に然程の興味関心や実害があるわけではないのだが、阪急阪神ホテルズの出崎社長の会見は『言い訳じみた自己弁護の主張・部下に全責任を擦り付ける卑怯な言い分』だとして随分とメディアや世論から叩かれていた。『信用していたのに騙された感じで不快・阪神阪急のブランドがもう信じられなくなった・安い食材を高い食材に見せかけて不当利得を得たのではないか』などの街中を歩く通行人(利用者もいたようだ)の意見が出されてもいた。
このレストランの誤って表示されたというメニューが、どういった『顧客の意識・お金の払い方』の下で出されていたのだろうかということはちょっと気になった。高級レストランの数千円~数万円するようなセットのメニューとして『食材・産地・ブランド』などを誤って表示していたのであれば、動機も結果も『不当利得・誇大広告(優位誤認)』を狙ったものだと見られても仕方ないと思う。
自分がそれだけの割高な料金を支払って食べたコース料理などがそういった誤表示だったら、個人的に損したとか騙されたような気持ちになるかもしれないし、食材のコストをケチるために意図的に偽装したのだろうなという推測を持つだろう。
一方、割安な宿泊費とセットになっているような『ビュッフェ形式(食べ放題形式)』だったり、あらかじめ料理を並べておく朝食などにある『定食形式』だったりしたのであれば、個別のメニューそのものや産地・ブランドなどを初めから余り気にしなかった可能性がある。誤表示だったと分かっても『少しでも美味しそうに見えるように表示に食材や産地のブランド価値を持たせたかったんだな』くらいは思っても、『騙して不当利得を掠めようとしたんだろう』とまでは思わないかもしれない。
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米(コメ)は大量生産が可能な農作物であり、自由競争経済ではかなり安い値付けがされるため、日本のコメは『減反による生産量+市場価格の調整+輸入の禁止(外国米への778%もの高率の関税)』によって守られてきた。しかし政府は農業の成長戦略の一環として、今までの減反政策の廃止も含んだ抜本的な見直しに着手する構えだという。
外国産の米には1kg当たり341円もの異常な関税がかかるのだが、これは実質的に『日本は外国企業がどんなに安価で良質な米を持ってきても輸入はしません』という国際貿易の禁輸シグナルとして機能している。
日本人はこの関税障壁によって国産米以外の米の選択肢がないわけだが、日本の米は『減反・供給元による価格調整』があるので市場原理とは異なる形で定価が決められており、外国産米の約4倍以上の価格で消費者は米を買うしかない(米は世界的には非常に安価な主食だが国内では比較的値段が高い)。
日本の米の市場規模は約1.8兆円規模、この小規模な個人経営の農家群が担っている計画生産体制を支えるために、『農家戸別所得補償の約5000億円+消費者の市場価格以上の負担約数千億円』が投入されているという試算がある。
続きを読む “減反”という米の計画生産システムの終焉は何をもたらすか?:TPPの荒波と“米(瑞穂)”に対する日本人の宗教観 →
ユニクロの四半期売上が初めて1兆円を突破して、ZARA、H&M、ギャップに続く世界4位のアパレルチェーンになりそうである。
ユニクロは上位3社と比較すると『ファストファッション』というよりは、ヒートテックやウルトラライトダウンなどの『機能性衣料の開発』に力を入れているので、日本ほどそれらの機能性衣料のブランド名などが周知されていない外国市場においての潜在成長力があると見られている。
ユニクロ絶好調
ユニクロはとにかくオフショア(特に中国)で生産して安く売るという路線からビジネスを始めたが、2000年代半ばから『ファストファッションにおける質感・機能性』の商品開発にシフトして外国にも販売チャネルを拡大したことで、急速な成長を実現した。
最近は、ユニクロの国内での雇用システム(正社員の待遇)が、社員を酷使(搾取)して使い捨てにする『ブラック企業』ではないかという批判が起こったり、海外の生産拠点で安価な労働力を活用するグローバルなビジネスモデルがデフレ景気を長引かせて、国内の雇用を減らしているのではないかという不満もあるようだ。
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