どんなに魅力的で献身的で優しい異性であっても、『永続的な異性(エロティシズムの客体)としてのアウラ』を伴い続けることはできないわけで、相手との交際・結婚期間が長くなるにつれて『性的なパートナー(興奮する相手)』としての意味合いよりも『情緒的・共同体なパートナー(安心する相手)』としての意味合いが強まりやすい。
毎日、協力して生活しなければならない夫婦が、いつも夜通し行為をしたいほどに興奮していてはメリットよりもデメリットのほうが多いだけである。『家族的な意識』が強まればインセストタブーも相まって性的関心は弱まることになる。身内感が強まると、性行為そのものの違和感や不潔感も強まりやすい(恋人時代の初期には進んでやりたがっていた行為も、いずれは義務的となりやがては不潔感なども感じやすくなる)。
たとえ、憧れの芸能人であっても一般人離れした美人であっても、セックスの機会が増大して日常化すれば、『異性としてのアウラ・魅力』は次第に薄れてゆき、妄想していた時ほどの圧倒的な神聖さや快楽の大きさを感じ取ることができなくなっていくだろう。
単純な身体的快楽だけにこだわるのであれば、リアルのセックスが面倒くさくて疲れるとか、オーラルや冒険的なセックスが汚らしいという心理になる人がでてくるのもそれほどおかしなことではないのだが、『身体的快楽以外の要素・必要性』を感じ取れる人同士がくっついているかどうかで、『性愛の賞味期限・持続性』はかなり可変的になってくる。
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セックスが好きかどうかという直截な質問は、一般論として語るにしてはあまりに『質問に応える者の年齢と体験・価値観・生き方の個別性(人それぞれの差異)』を捨象し過ぎているのではないか。小学生や中学生くらいの年齢であれば、第二次成長期を迎える身体・ホルモンの変化(生殖能の獲得)が、『未知の快楽・異性の裸体に対する幻想(その幻想の友人間での下ネタ・体験談による共有)』と合わさることで、画一的な性欲が喚起されやすい。
男性に聞く!ずばり、あなたはエッチが好きですか「嫌い5.7%」
初めてのセックスに対する感想は人それぞれではあるが、男性の中には『実体験以前の性的幻想・異性の身体の甘美な理想化』と比較すると、セックスそのものの快楽の強度は圧倒的に強いとまでは言えないような気がするという感想を持つ者も多い。無論、慣れていないことによるプロセスのぎこちなさや技巧面・配慮面での未熟さなども関係するが、複数の異性と経験を重ねてある意味での性的な慣れや性行為の機会増大が生じると、今度は『未知の快楽・異性の性的身体(行為)に対する幻想』が打ち崩されてしまう。
セックスの欲望というのは逆説的だが、好きな相手と同棲・結婚するなどして性行為の機会があまりに日常化してしまうと段階的に衰えていき、『快楽・幻想(イマジネーション)のエロティシズム』から『安心・情愛の絆(つながり)の確認』のような行為へと質的な変遷を遂げる。
もしくは、一定期間の経過後にセックスレス(極めて稀な行為頻度)が当たり前となりやすく、10年、20年とずっと一緒にいてもセックスの欲望がその相手に最高に強く維持されている(法律的・倫理的・情義的な制約によってそうするしかないという意味合いではなく)というケースは、生物学的な生殖・脳機能の仕組みから考えてもおそらくレアだろう。
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