映画『ワールドウォーZ』の感想

総合評価 77点/100点

車のサイドミラーを暴走する車にへし折られ、状況が全く分からないまま、フィラデルフィアの街は異常な大混乱に巻き込まれ、軍隊まで出動して瞬時に街は厳戒体制に置かれた。同様の現象はアメリカ全土で勃発、世界の他の都市も次々に原因不明の感染症に冒されて機能を停止する。狂犬病にも似たゾンビ化の感染症のパンデミックによって、人類は絶滅の危機に瀕した。

『冒頭の掴み』は非常にスリリングで期待感を煽るし、『大都市のパニック』の映像表現は臨場感のある恐怖と混乱を上手く表現しているが、いわゆる『ゾンビ映画』のグローバルな現代版といったストーリーで使い古された観はある。ゾンビの外観や動きの表現は過去の作品よりも格段に進歩しているし、『バイオハザード』ほどゲームらしい冒険物語に偏ったものではなく、人間に襲いかかる『俊敏で足の速いゾンビ』というのが今までのゾンビとはちょっと違った設定になっている。

しかし、アメリカ人は生者が理性を失って本能(食欲)に支配された『動く死体』になるという『ゾンビ映画』が本当に好きだなと思う。海外ドラマの『ウォーキング・デッド』などもヒットしているが、こちらは『親しい家族がゾンビになる悲哀・理性を失った人間の浅ましさ(尊厳の喪失)』のようなものをテーマにしており、ゾンビになった愛する者を殺さなければならない極限状況の葛藤を描いているので、心情表現の上での新しさはあると思うが。

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映画『ホワイトハウス・ダウン』の感想

総合評価 82点/100点

世界の最高権力者であるアメリカ合衆国大統領の居住地・政治拠点である『ホワイトハウス』がテロ勢力によって陥落させられるという筋書きは、ジェラルド・バトラー主演の『エンド・オブ・ホワイトハウス』とも共通しているが、『ホワイトハウス・ダウン』のほうがライトな作りになっている。

本格的なアクション映画としての銃撃戦の迫力とテロ計画の深刻さでは、『エンド・オブ・ホワイトハウス』のほうが面白いと思うが、『ホワイトハウス・ダウン』は議会警察官のジョン・ケイル(チャニング・テイタム)とジェームズ・ソイヤー大統領(ジェイミー・フォックス)とのコミュニケーション(友情の芽生え)に重点が置かれている。

あちこち転職を繰り返して軍隊でも上官に不遜な態度を取ったりして、キャリアがガタガタなジョン・ケイルだったが、娘のエミリー・ケイル(ジョーイ・キング)の前で良いところを見せたくて、『大統領警護官』に応募するのだが幼馴染みだった面接官の評価は学歴面でも経歴面・素行面でも警護官として採用できる基準に達していないという散々なものだった。

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