2014年の日本の政治・経済・安全保障をどのように見通していくか:昨年からの経済成長の勢いと財政再建の転換点の見極め

2013年は参院選挙に自民党が勝利したことで“衆参のねじれ”が解消して、『自民党の一強多弱の政党政治』の路線が確立し、アベノミクスの異次元の金融緩和と公共投資が行われた。安倍政権は市場に大量のマネタリーベースを供給することで企業活動を支援して、政権初期のスタートダッシュを掛け、株価を急騰させる成果を上げたが、円安に大きく触れた反動で『食品・原油・電気ガス』のコストも上がる傾向にある。

安倍政権が今年の経済政策の課題として上げるのは、『企業の景気回復の実感が労働者にも及ぶようにすること』と『8%への消費税増税によって景気が腰折れしないこと』である。

だが、企業規模の大小や企業業績の格差、旧国営企業の好調、軽減税率導入の先延ばしなどを考えると、『アベノミクス効果の給与への還元・消費増税後の景気実感』にはかなりの格差が開くことになりそうな雲行きである。

雇用法制についても、『労働者派遣法の規制緩和+ホワイトカラー・エグゼンプション(管理職と見なされる労働者の労働時間規制の撤廃)の導入』が検討されているが、これらの雇用改革は一般労働者のメリットというよりも経営者のコスト削減に貢献するものである。

すべての職種で有期の派遣労働を可能にして雇い止めの違法性を無くす派遣法の規制緩和は、確かに『労働市場の流動性の上昇+労働者採用の実力主義の競争』というメリットも生まれる可能性はあるが、現状の日本の雇用制度はそういった市場的な競合性を公正に判断する指標そのものを持っておらず(そもそも既存の正社員を任意に解雇した上で別のより有能な労働者と入れ替えることは現状では労基法に反する違法行為である)、画餅に過ぎないようにも思える。

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