映画『マレフィセント』の感想

総合評価 88点/100点

『眠れる森の美女(眠り姫)』をディズニー映画がアレンジして作成したファンタジー映画。自然の美が溢れる妖精界と中世風の人間界を舞台にしているが、妖精王・マレフィセントの飛翔と魔法、人間と妖精の軍隊の激しい戦闘、オーロラに掛けられた呪いの具現化など映像と音楽の調和したクオリティは素晴らしい。

“愛・共感”を覆い尽くす“強欲・支配”という人間の原罪に直面したマレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)は、強烈な憎悪・呪詛の感情に身を焦がし、かつて愛した男(ステファン)に最大の不幸を与えるための呪いを掛ける。

マレフィセントは妖精の森で知り合った青年のステファン(シャールト・コプリー)と親密になりやがて恋に落ちるが、ステファンは成長するに従って権力と富裕に強い執着心を見せるようになり、次第にマレフィセントと疎遠になっていった。人間の王は妖精界の自主独立を認めず、執拗に侵略のための軍勢を差し向けてくる。

だが、妖精王マレフィセントは翼による飛行能力と自然を操作できる魔法によって、人間の軍勢をことごとく打ち破り妖精界への侵攻を許さない。人間にとって『妖精界の守護者』であるマレフィセントは厄介な邪魔者であった。人間の王は、マレフィセントを討ち取った者を、次代の王にすると約束した。

国王の後継ぎになりたい野心を高ぶらせるステファンは、昔からの親愛の感情が変わっていないように見せかけてマレフィセントに接近し暗殺しようとするが、良心の呵責から殺すことまではできず、安心して自分の隣で眠り込んだマレフィセントの翼をナイフで切り取ってしまった。

続きを読む 映画『マレフィセント』の感想

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の感想

総合評価 86点/100点

人類は宇宙からの不気味な侵略者“ギタイ(触手を持つエイリアン)”の猛烈な攻撃を受けて絶滅の危機に晒され、ドーバー海峡を渡ってヨーロッパ全土を破壊しようとするギタイの侵攻を食い止められるか否かの重要な戦局を迎えていた。人類の兵士は、筋力を増強させてマシンガンなどが装備されている最新兵器“パワースーツ”を身につけて戦うようになっている。

米軍のメディア担当の少佐ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)は実戦経験がまったくない臆病な兵士で、はじめから戦わないつもりで軍隊にメディア・広報の担当官として入隊していた。ケイジは『自分は血を見ただけでも卒倒するタイプなので戦いは絶対に無理だ』と将軍にごねるが、人類全体の存続に関わる状況の中、無理矢理に戦闘の最前線に送り込まれることになった。

怒鳴りつけられながら前線基地に向かったケイジだったが、空輸中にギタイの攻撃を受けて移送ヘリが炎上、何とか戦場には着地したが、案の定、短時間で動きの速いギタイに殺されて戦死してしまった。しかし戦死したはずなのに、ケイジは再び目覚める。そこでは出撃の前日と全く同じ場面が繰り返されていた。ケイジは何度戦死しても、出撃の前日に戻って戦うというタイムループを繰り返す。

戦場でジャンヌ・ダルクになぞらえられる最強の女兵士、フルメタル・ビッチと呼ばれるリタ・ヴラタスキ軍曹(エミリー・ブラント)と出会うが、ギタイを一人で数百体も葬ったリタもまたケイジと同じ『タイムループの経験者』であった。

続きを読む 映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の感想