安全保障より生活窮乏(所得減・増税)で大勢の国民が犠牲になってるが、改憲は『国民主権・平和主義・人権』の三原則を変質させ、国民の不安・不満の原因を内政から国外や軍事にミスリードする方向へ行くのではないかと不安である。
首相、国民投票は来夏の参院選後に 憲法改正へ意向
日米軍事同盟の強化が叫ばれる中、アメリカが日本に思い通りの血と汗の負担をさせられない抑止力となっているのが、米国GHQが起草に参加した日本国憲法である。憲法9条や25条の改正は、日米同盟の中で『日本人の犠牲』を払ってでも米国の世界秩序や地政学的リスクの封じ込めに参加する責任履行を担保する恐れがある。
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義務教育で『善悪の分別の思考力』や『人倫の本質的な理解力』を培う教科を創設したいのであれば、『道徳(moral)』という権威的な教訓や全体への従属義務の意味合いを感じる科目名にするよりも、『倫理学(ethics)』という哲学的かつ主体的な思考プロセスを重視して、善悪と自由の本質を議論する感覚のある科目名にするほうが良いかもしれない。
道徳はリージョナル(個別的)なものではなくユニバーサル(普遍的)なものであるべきだが、日本で『道徳』というと、どうしても教育勅語のような『固定された儒教的な価値判断に基づく記憶と実践』になりやすいし、旧会津藩の『ならぬものはならぬのです』というような理由も根拠も分からないが、上位者から怒られるのでとにかく守るしかないという教条主義に陥りやすい。
道徳教育には賛成も反対も両方あるが、反対する人たちは、戦前の『修身(道徳科)』の君臣秩序・滅私奉公(自己犠牲)を中心軸にした権威主義的な道徳教育のトラウマが深いのだろう。権力や上位者にとって都合の良い個人の権利を押さえつける価値観を、一方的に教えられて同調圧力をかけられるのが道徳といった思い込みが、道徳教育への抵抗感を形成する。
戦後日本の道徳は『自他の生命を大切にすること・権力によっても個人の生命や自由を恣意的に支配することはできないこと』であるが、戦前日本の道徳は『生命に執着せずに全体(国体・天皇)のために潔く散れること・天皇を最高位とする国制上の上位者に絶対忠実であること』という正反対のものであった。
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ISISやISILと称する暴力支配を是とする武装集団(通称イスラム国)は、『イスラム原理主義国家建設』を掲げて前近代のカリフ制度や男権社会の復活を目論んでいるともされるが、イスラム国を突き動かしているものは『俗世的なカネ(オイルマネーの配分)・女(制圧地域の対人支配)』と『理念的な反米主義・反近代主義(現行世界秩序の否定)』だろう。
イスラム国の兵士に志願する者には、イスラム教の原理主義的な信仰などには興味のない粗暴な人たち、先進国の文明社会に適応できなかったり欧米社会でムスリムとして差別を受けたりして、暴力・略奪・強姦などの力による支配に魅了された人たちも数多く参加している。
イスラム国兵士のモチベーションを最も強く支えているのは割高な給料(オイルマネーの配分)だという話もある。そのため、戦況が劣勢になって戦死者が増えればイスラム国の忠誠心や求心力は段階的に弱まるのではないかという推測もあるが、『反欧米・反近代・反男女平等主義(反人権思想)』といった現代の国際秩序の中心的な価値観に反対する人や勢力は終わりなく生み出されている。
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『イスラム教』と『IS(イスラム国)の過激派勢力』は異なり、ISに参加していないムスリムは危険なテロリストでも武装勢力でもないというのは常識的な認識として日本人も持っておく必要がある。
IS(イスラム国)と無関係な在日の一般ムスリムに、悪意や復讐心に基づく差別・迫害・嫌がらせを行うことは犯罪・迷惑行為であり、自らの認識の間違いや人間性の愚劣さをあらわにすることに他ならない。
一方で、後藤健二さんと湯浅遥菜さんは『民間の日本人』であって、『安倍政権(日本政府)の対ISの外交政策・テロ対策の代弁者』ではないのだが、IS(イスラム国)は後藤さんと湯浅さんが『日本政府の方針や資金支援に反対する個人』であったとしても容赦なく殺害しただろう。
ここに、排他的(対話不能)なナショナリズムや宗教原理主義に接続しやすい『国家と宗教への帰属を決め付ける人間心性』や『相手の帰属情報だけで自分たちの敵だと決め付ける対話拒絶』の恐ろしさがあると見なければならない。
人口3億人を擁するアメリカ、人口1億3千万人の日本には、『アメリカ人』や『日本人』という大雑把過ぎる国籍のカテゴリーだけでは括れない多種多様な思想信条・価値観・ライフスタイル・人間関係・国際感覚を持った人たちがごった混ぜになっていて、すべてのアメリカ人(日本人)が『政府・権力者の賛同者』であるわけではなく、政権を支持していても内政・経済と外交・軍事では意見が分かれることも多いだろう。
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