『神戸児童連続殺傷事件』を起こした犯人かどうかの真偽は不明だが、『元少年Aの犯行・心理・嗜好・読書歴』と共通していそうな要素を感じるグロテスクかつナルシスティックなコンテンツが掲載されたサイトではある。
神戸連続殺傷事件「元少年A」名乗るサイト開設 自己紹介やイラストなど掲載
作者が偽物だとしても、相当この事件と加害者の心理・履歴・著作などに興味のある人物なのだろうか。こういった思弁的・言語的な自己陶酔(自己顕示)に耽溺していく型の文章には個人ごとの癖や特徴がでやすいから、元少年Aの『絶歌』を読んだ人であれば(私は未読だが)文書の類似性を何となく判断はできるのかもしれない。
本人だと仮定すると、『存在の耐えられない透明さ』というサイトのタイトルが、少年時代に起こした事件の犯行声明文の自己規定や犯罪の動機と重なってくるが、酒鬼薔薇聖斗と名乗っていた加害者は『他人から自分の存在が透明になっていて見えていない(この世界に自分が実在していないという透明な存在感覚)』によって殺人事件を犯したのだと告白している。
その透明な存在感覚や目立つ騒ぎを起こすことで承認されたい自己顕示欲(人格の演技性)が今もまったく変わっていないのであれば、『精神病理・反社会性パーソナリティーの根本部分』は矯正することができなかったとも言える。
犯行声明文で元少年Aは『ボクがわざわざ世間の注目を集めたのは、今までも、そしてこれからも透明な存在であり続けるボクを、せめてあなた達の空想の中でだけでも実在の人間として、認めて頂きたいのである』と書いているが、元少年Aの自己の存在感や承認欲求の異常な偏りは、『猟奇的・劇場的な犯罪行為を介して“あなた達”と呼ぶ“無関係な第三者(世間一般の仮定的他者)”に自分の存在を押し付けるように見せようとしていること』である。