教職員の生徒に対するわいせつ事件の発生件数が高止まりしているという記事だが、性的な重犯罪を除く『軽度のセクハラ』に関しては20年以上前は現在よりも酷い状況(酷いとさえ思われない認識のギャップ状況)にあったのではないかと思う。
教師が明らかな性的意図を持って下ネタを振ったり、お気に入りの女子生徒と馴れ合いのコミュニケーションをしたり、体育教師が授業中に不必要なボディタッチを繰り返すなどはざらにあったが、それらが事件・不祥事として認識されるための社会的な共通認識がなかっただけだろう。
性関連の不祥事を起こす教員のタイプは大きく分ければ、『元々子供に性的関心を持っていたロリコン』『性的なフラストレーションや異性関係の不満を鬱積させて発散の場のない欲求不満者』『教職のストレスに耐え切れずに倫理観が崩壊した逸脱者(メンタルヘルスの悪化者)』などになるだろう。
いずれも教職員としての資質・適性に欠けるといわざるを得ないが、残念ながら現状の採用・研修・雇用の仕組みの中では、実際に性的な不祥事を起こさない限りは、表面的にはそういったセクシャリティーの嗜癖性・逸脱性を現すこともないのでスクリーニングすることは困難である。
教員であれば、個人の性嗜好として若い子が好きであるとしても、最低限自分の教え子を異性として見ない(そういったアプローチやほのめかしをしない)という厳格な職務倫理上・人格の尊厳上の線引きができることがプロフェッショナルの条件であるべきだ。
だが正確にいえば、幼児・児童に対するペドファイルが犯罪的な性嗜好障害(人口的に少ないマイノリティー)であるとしても、10代後半~20代前半の若い女性が性的欲求の対象であるという成人男性の教職員は(実際にそういった関係が可能であるか社会的に公言するかを別にすれば)無視して良いほどに少数派であるとはとてもいえず、ある意味ではノーマルな性欲として解釈可能なものである。
大多数の教職員は『教員としての使命感・責任感』『プロフェッショナルな職業倫理』『職業キャリア・社会的身分の保守の意識』において、『プライベートな男女関係・性的嗜好』を職場や教師・生徒の人間関係とは完全に切り離して、日常の職務に精励しているはずであるが、個人の資質・性癖・精神状態を含めたさまざまな要因によって一定の割合で逸脱者・違反者が出てしまうことは完全には回避しづらい。
学校の教員に限らず、男女の間に一定の上下関係(役割関係)が生まれやすく、性的対象になりやすい10代後半~30代くらいの若い女性が多い職場では、男性だけの職場や若い女性がいない職場よりも、『セクハラ・わいせつ・性犯罪の発生率』が高くなっている。