相対的貧困はなぜ大衆層・中流層から理解してもらいにくいのか?:貧困の主張がわがまま・甘えと誤解されやすい

『相対的貧困』は階層流動性が落ちた現代の閉塞感の一因だろう。貧困再生産を恐れて少子化にもなる。先進国の『人並みの文化的生活のレベル』は高コストであり子孫の世代に付与しづらくなった。

「貧困たたき」する前に…相対的貧困の意味、知っていますか?

高度経済成長と一億総中流社会を経験した戦後日本は、歴史上で初めて庶民層が『貧困・惨めさ・劣等感』を一時的に払拭して、『物質的・文化教養的に豊かなライフスタイル』を子供世代に付与できたが、そんな中流の生活様式を『誰でも実現できて当たり前』の感覚になった所で、経済成長が終わり格差が開いた反動が大きい。

1970~80年代頃までは親・家の事情で学力があっても進学を断念する子は珍しくなかったし、社会階層の違いによる機会・仕事の不平等も現実として受け容れられていた。だが現代は建前として『機会の平等=親による子の不利益のゼロ化』が規範としてあり、相対的貧困は機会の不平等・子の理不尽をもたらす社会悪となる。

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がんの『早期発見・早期治療』は有効だが、遺伝・細胞生理が絡むので完治・完全予防は難しい

がんの大きな要因は『加齢(DNA複製エラー・自細胞の異物化)』と『がん発現遺伝子(がん抑制遺伝子の欠如)』で、平均寿命が延びた国ではがんの発症率・死亡率は高まる。がんの根本治療は外科手術のような侵襲的治療では難しい。

<がん対策>早期発見技術で連携強化 日米韓が共同声明

早期発見できればがん切除の外科手術で再発しない症例も多いが、『早期発見のための頻繁ながん検診』は逆に放射線被曝量を上げ細胞のがん化リスクを高めるという見解もある。『早期発見へのこだわり(年に複数回の人間ドックを受ける等)』ががん予防やがんで死なない為に有効であるという統計的エビデンスはない。

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老後の生活不安で個人投資額は4年連続増加。老後に必要な貯金は2875万円らしいが。

現代の気分が閉塞する原因の一つが、若い時から『老後の人生設計・高齢化と社会保障』に意識が囚われ、将来の備えに追われ続けている事だろう。『制度的な先細りの予定調和』の圧力によって、いくらお金を貯金していても足りないという不安が強くなるし、年金の減額や制度の改悪というのが常にプレッシャーとして働きやすい。

老後に必要な預貯金2875万円…貯蓄より投資に移行!? 資金運用は4年連続増

近代国家は国民の老後・障害・病気に備えるため『税・保険料』による社会保障(年金・福祉・健康保険)を制度的に充実させてきたが、経済成長と人口ボーナスが終わって『低成長・人口減少のターン』になってから、これらが『再分配後の格差・生活苦の一因(負担と給付で恩恵を得られるのは現高齢者だけ)』にもなった。

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AI・ロボットの進歩は『正社員減少』だけではなく『労働以外の人の価値・生きがい』を浮き彫りにする

アメリカの発明家レイ・カーツワイルが、2045年にはAI(人工知能)とロボットが人間の知能を遥かに凌駕して自律的に人間の手を借りず学習・業務ができるようになる『シンギュラリティ(技術的特異点)』に到達するという神話的予言をしてから、AI関連の話題や書籍が急速に増えている。

SFの小説や映画ではAI・ロボットの究極の理想は、人間とほぼ同じ外観・機能を持ち、人間を遥かに超えた知能・肉体の能力を持ちながらも人間の思い通りに動いてくれるお馴染みのサーバント(奴隷)型の『ヒューマノイド』の作製にある。だが、完全なヒト型のヒューマノイド作製は技術的・原理的なハードルが非常に高く、現実的には『何らかの役割・目的に特化したプログラム+仕事に合わせてオーダメイドする非汎用型ロボット』になるだろう。

AI・ロボットのもう一つの理想とされるものは『産業ロボット・サービスロボット・自動化システム』の高度な進歩によって、人間社会や産業活動を自動的・効率的・計画的に運用したり対人コミュニケーション(合わない相手との対面)のストレスを最小化したり、監視カメラやセンサーなどの環境調整システムを社会・機械(車・建物など)に織り込むことで『完全法執行システム(違法行為やマナー違反をあらかじめ検知可能にして原理的に人が悪事をほとんどできなくなる仕組みの実用化)』を構築することである。

この理想はヒューマノイド以上に既存の人間の自由や尊厳を損なうものであるが、現代においてさえも『アルコールの息を検知したらエンジンをかからないようにしろ・どこで犯罪が起きてもその場面を撮影して後で犯人を特定できるように監視カメラを網羅的に設置せよ(更に全国民のDNA・指紋・虹彩などの生体データ提出を義務化して犯罪ゼロを目指せ)・列車の飛び込み自殺できないようなホームドアを完全敷設せよ』などの環境管理による秩序維持の意見は多い。

『個人がどのようにしても社会や他人が好ましく思わない犯罪・マナー違反をあらかじめ環境制御システムによって押さえ込むべき』とする考え方は、AI・ロボットが進歩する社会と親和的なものであり、心を持つ人間に監視されることに不快感や怒りを感じる人はいても、無機的な監視カメラやセンサーに監視されることなら許せるという人は多いのである。

心と人間関係(コネ)を持たず利権・感情に揺り動かされないAI・ロボットが監視・法執行をするのであれば、かなりの部分の人間は犯罪者・マナー違反者をあらかじめ検知して抑制や警告、排除をしていく『AI・ロボットの秩序維持システム』を歓迎する可能性は小さくはなさそうな気がする。

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