相手への尊敬・感謝を維持できるか否かは、本質探求の思索者よりミクロな生活者としての適応が問われる。対(つい)や番(つがい)の共同幻想を良い形で維持できるかどうかは相性もあるが、孤独を恐れる帰属・貢献の強度も相関する。
その時々の好意や言動に感謝することはできても、共同生活の必然性が弱まった現代で、本心から他者を尊敬するというのは『尊敬の本質』を考える人ほどなかなか難しいもので、採用面接などで『尊敬する人は誰か?』という質問も深く考えるほどに難問なのである。生身の人への持続的な尊敬が困難なればこそ離婚も別離もある。
実直なイワンの馬鹿の黄金律ではないが、誰々をリスペクトして、両親を尊敬している(両親のような家族を作りたい)というような『シニカルな視点のないストレートな情緒と社会観・明るい対幻想と親への尊敬、地道な生活に基づく家族主義』は良い夫婦関係の持続性に関係する。主観の共同性と情緒の親和性が絆を深める。