■「自己変革研修」で新入社員自殺、遺族がゼリア新薬など提訴…研修会社は反論
ゼリア新薬の缶詰め状態の自由を奪う新人研修は、『自我・自尊心・自分の都合を捨てさせる+会社が外の常識が通用しない治外法権(上意下達)の場であることを叩き込む研修』である。私生活や自分の都合を捨ててのハードワークを厭わない企業戦士の育成だけではなく、メンバーに忠誠心と規律遵守を求める軍隊・新興宗教団体でも用いられてきた研修手法ではある。
『仕事に対する自発的な従属・忠誠』を受け容れきれないいわゆる学生気分を脱ぎ捨てて、社会人(企業人)としての自覚や覚悟を叩き込むといった名目で行われることが多い。
洗脳的な自己変革セミナーのテクニックは、端的には『現在の甘い自分の否定』と『今までの自分の考え方の否定』を進めるために肉体的・精神的にギリギリの所まで追い込んで、悲しみや悔しさ、恥ずかしさなどの激しい情動を喚起させることで『丸裸の自分(知られたくないことまで曝け出して隠せるものがなくなった自分)』を会社のメンバーにさらけださせてそこを居場所と思い込ませることである。
そのために、どんなに大声で返事や復唱をしても『まだまだ声が小さい・お前の声は全く聞こえねえぞ・蚊の鳴くような声でやる気あんのか』と威圧・罵倒しながら、声が嗄れてしゃべれなくなるくらいまで大声を出させたり、朝から晩までスケジュールを詰め込んで休む暇なく家事・雑事・単純作業をさせて深夜遅くにくたくたになって倒れこむくらいまで追い込む。
あるいは、街頭に立たせて大声で自己紹介や仕事の意思表明をさせて恥をかかせたり、無差別的に街を歩くサラリーマンと名刺交換をさせて『恥ずかしさ・プライドによる行動抑制』をなくさせたりする。
『格好つけるな恥をかけ・良く見せようとするな・プライドを持つな・自分を大した人間だと思うな・とにかく感謝して感動しろ・どんな仕事でもやらせて頂いてありがとうございますとへりくだれ』といった自己否定の洗脳的なワードや評価が飛び交い、『自分の意識や恥ずかしさ、プライドにこだわらずに言われたことを即座に実行する機械的な反応・従属』を条件反射のごとくさまざまな課題強要で仕込んでいくことになる。
心身をくたくたに疲れ切らせて睡眠不足にすれば、『正常な思考力・判断力』を低下させて、本来あるべき『他者との心理的距離感』を失わせることができ、『むきだしの感情を噴出させた上での忠誠・改心』へと洗脳的に誘導しやすいからである。
最後は、自分の弱みや情けない部分をさらけ出し合った新入社員同士で、厳しい研修を乗り切った連帯感とお互いの恥ずかしい部分を知り合った仲間意識が芽生えやすく、涙でぐしゃぐしゃになりながら『ありがとうございました。生まれ変わることができました。今までの自分の甘さが分かり大切な仲間が得られました』と改心(完全従属)して、企業のハードワークや無茶な命令にも適応しやすい(そういった自己否定研修をする会社が望ましいと定義する逆らわない)企業人の素地ができあがるというわけである。
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