○『黒革の手帖』の2話の感想。派遣からホステスに引き抜かれ、カネの魔力で強欲の本質をむき出しにした仲里依紗。仲の色仕掛けに落ち、マンションや車など大金を貢ぐ美容整形医の奥田瑛二のろくでなしぶりを描く。30年支えた愛人兼ビジネスパートナーの看護師長の高畑淳子を切り捨て、武井咲が高畑に力添えして人生が暗転した。(07月29日)
高畑淳子は初期は愛人だったが、途中から男女関係は終わり美容整形のビジネスのアイデアや拡大を全面サポートした。楢林クリニックの新病院建設を二人の人生の目標と信じ、あらゆる無駄遣いを排除し必死にお金を貯めていたが、仲里依紗に溺れた奥田瑛二は掌返しの態度でケチなお前の顔など見たくないと追い出しにかかった。
お金を貯めて大きな目標に向かうことを『二人の夢』と信じて30年を捧げた高畑に、若い女と派手な散財に溺れたろくでなしの奥田は『俺のカネ・俺の病院』と言い張り、過去の高畑の貢献や献身を無にし、仲里依紗と一緒に魅力がないだのケチばばあなど散々に罵倒するが、普通、短気な女性だったら刺殺されて命を失っている……
武井咲が高畑淳子に、奥田がホステスに貢いでいると密告するシーン。男女の仲としては終わっているが30年来の深い信頼関係があると信じる高畑が『たかが小娘に10万や20万の端金を貢いだって関係ない』と余裕を見せるが、金額がフェラーリやマンションで一億を超えると聞くと表情を急変させ激怒、演技力は凄いな。
しかし、仲里依紗の演じるホステスの中身がなさすぎる気質性格だと、いくら若くて美人でも、億単位のカネを貢いだり、自分を本気で理解してくれてサポートしてきた長年のパートナーを切るほどの魅力はない。結局、この種の傲慢な性格の人は色気で落とされても、遠からず不機嫌や嫌悪でセックスレスになるので同じ不満に陥る。
お金が十分あるのに使えないとか、クラブに通うが最後の一線は越えないとかいう抑圧の過剰によって判断力が低下する人もいるのだろうが、『偽装されたストイシズムの破綻』は人生の後半になるほど致命的ダメージになる。最後は武井の脱税告発の脅しで、仲のパトロンになる現金を失った奥田も仲も、痛い目を見ることになった。
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