読書をする理由と近代以前の『読書人階級』のエリート文化:近代的な教養主義は衰退したけれど。

○古代中国で『士』と呼ばれた読書人階級は『官吏・有徳』だが、識字率の低い時代・社会では読書は野蛮・無知でない知的権威・階級意識もあった。現代は識字率はほぼ100%だが、言語運用・前提知識・語彙の差はでる。

漫画「なぜ読書をしなければいけないの?」 読書家母の回答を図書館司書たちが絶賛

読書を全くしないからといって不幸になったり損をしたりするわけではないが、読書量・前提知識の多い人との『ユーモアや教養の絡んだ会話・言語的なメタファーの理解』ができない恐れは出てくる。また文化階層によって『知っていて当たり前の定番の本・理論・用語』があり、読書によって得た知識が役立つこともある。

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『他人と一緒に暮らせない女性』の結婚の難しさ、 波瑠主演の不倫ドラマ『あなたのことはそれほど』の感想

○学生時代、男は『生活音・日常生活の過ごし方の個人差』が非常に大きい事を実感した。静かな人は本当にいるかいないか分からない位で快適だが、うるさい型の人はいびきにせよ足音や炊事・洗濯の音にせよ何をしてもうるさい、我慢強い相手でないと無理だと思ったものだ……。

「今さら他人とは暮らせない」 寂しさよりも自由を選ぶ女性に称賛の声 (しらべぇ)

経済的に依拠する部分がなく子供がいらないのであれば、極端に自由が制限されることはないだろうが、他の異性とあんまり親しくできないとか一人で長期の遠出ができないとかいった一夫一婦制の最低限の縛りはゼロにはしづらい。『世話・面倒・構うや尽くす(メンタルケア)が必要な度合い』は男でも女でも個人差はある。

自分一人の収入や財産だけで妻子を扶養し老後まで経済保障しているような男性であれば、やはり経済力がない男性よりは『配偶者としてのサポートやケアの見返り』を間接的にでも期待・要求するかもしれない。カネがなくても要求する人はいるかもしれないが、貢献度が非対称的に感じられるほど精神的自由度は落ちやすい。

男性も色々な価値観やタイプの人はいるので、子育てや家計維持・老後設計などの必要な共同作業以外は『自分は自分・配偶者は配偶者の自由な人生があって然るべきの意識』がある人なら、一定の節度や配慮を持ち寄ってお互いをそこまでガチガチに縛ってあれしろこれしろとは言わないだろうが。

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2005年からの12年で自殺者数は減少したが、その要因はどこにあるのか?:景気回復・中流意識の崩れ・自殺定義など

2005年からの自殺減少要因は『統計的な自殺定義』『中流社会崩壊の慣れ・格差受容』『少子高齢化の進展』『一部の景気回復』が考えられるが、不審死・行方不明含む実質的な自殺の問題は依然深刻だろう。

自殺者、10年間で3割以上減らす目標 厚労省

自殺の心理は『耐えがたい主観的な苦痛と絶望の持続』と『社会的な孤立・対人的な孤独や排除(いじめ)・経済的な困窮・思想的な意味欠如・身体的な病気』が合わさることで危険な水域になってくるが、前者の苦痛・絶望は、後者の原因となる出来事をなくしたり支援して緩和することによって和らぐ可能性がある。

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今村雅弘復興相の『東北でよかったの失言』による更迭と当事者意識の希薄化

中央の意識による『東北への思い入れの薄さ・当事者性の欠如』が図らずして漏れた今村復興相だが、政治家は学者ではない、合理的計算よりもTPOに合わせた義理と人情で支持されないと失言になりやすい。

<今村復興相辞任>「ご迷惑かけた」辞表提出後の発言・全文

東京に大地震が起きた時に想定される『全体の被害規模・経済的損失・政治経済の中枢機能麻痺』は、確かに東北地方で大地震が起きた時よりも深刻であり日本は容易に復興できないシビアな状態に追い込まれるが、それは『敢えて比較しなくても分かっている合理的な事実』で政治家としては不要・不快な蛇足の言葉である。

『東北で良かった』は、経済被害・中枢機能で東日本大震災における個別の被災者の人命の価値や悲哀の深さを希薄化する思いやり・温かみのない失言となる。政治家は合理的であるべきだが冷淡な人柄・無感情・皮肉屋であるべきではなく、本当はそんな人間でなくても失言によってそう決めつけられるデメリットは相当に大きい。

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江戸幕府を開いた初代征夷大将軍・徳川家康(松平氏)の祖先と大久保忠教の『三河物語』について。

徳川家康は征夷大将軍に任じられるために、新田氏の後裔の『清和源氏』を名乗っていたが、それ以前の三河守に任官された時には家康は『藤原氏』を名乗っていた。

当時の官位・官職は家柄(姓)によって就任できる官位の上限が細かく決まっており、その厳格な前例主義・慣例踏襲・儀礼主義にまつわる煩雑な伝統と知識の体系として『有職故実(ゆうそくこじつ)』があった。

家康の元々の姓である『松平氏』は祖先が朝廷・武家の名門一族(藤原・源平)とつながっていなかったため、実力があっても高い官位と結びつく官職に任官してもらえない恐れがあった。

前例主義・朝廷権威の有職故実は、破ることが困難な暗黙の慣習的ルールとしてかなりの心理的強制力を持っていたからであり、天下人の豊臣秀吉も五摂家筆頭の近衛前久の養子となり(形式的に藤原氏に自分を組み込んで)、『豊臣姓の新設』によって関白太政大臣の地位を得ることができた。

源氏一族・皇族だけが歴代征夷大将軍に就任してきたという過去の有職故実によって、秀吉は当時最強の武将でありながら、武家の棟梁の征夷大将軍にはなれなかった(必死になろうとしなかったのもあるが源氏の足利義昭からは養子の申し込みを断られた)のである。

しかし、先例蓄積の有職故実による官職の任免は朝廷の権限であるとしても、武家を取りまとめる天下統一に至った豊臣秀吉にしても徳川家康にしても朝廷(天皇)が武力で対抗できる存在ではない威圧は重かったはずである。

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海外ドラマ『ウエストワールド』の感想

89点/100点

二話までしか見ていないが、バーチャルリアリティー(VR)と人間創造のナノテクノロジーで作られた『娯楽的な西部劇の仮想世界』を舞台にした近未来SFのドラマである。警察機構の裏付けのある法治主義が未整備で、保安官・自警団に頼るしかない暴力と野心と欲望が渦巻く西部開拓時代が『ウエストワールドのVR』で再現されている。

そこにはアウトロー(悪漢)や娼婦、家族、店員、貧者がいて、VRの物語性や人物相関は相当に細かくプログラムで創り込まれているが、人殺しをしても自分より強い者がいなければ逮捕・処刑されることがない(逆に無法を働いたのに弱ければ保安官に射殺されるか自警団・人々に縛り首にされるだろう)、銃を抜いて敵を早く撃ち殺したものが勝って奪い取るという『力の論理』に覆われている。

ゲスト(客)はウエストワールドの『広さ・深み・刺激』によって依存症のように何でもありの次々に派手なイベントが起こりまくる世界にはまり込んでしまう。一度でもこの世界の魅力を味わってしまうと、何度でもここに訪れたくなってしまうのだ。

ウエストワールドではお金を支払ってプレイしているゲスト(客)は、『何でもできる・何者にでもなれる・自分だけ死なない』という特別な存在であり、ここでは『現実世界で隠されている自分・人間の本性』がこれでもかと暴き立てられてしまう。

西部開拓の銃・決闘と強奪・強姦の暴力が吹き荒れる世界で、ゲストはいくら撃たれても死なない無敵の存在であり、『現実世界と同じ感覚』で女・カネ・権力・物語的展開などの欲望を満たすことができる。

普段は現実世界で大人しく礼儀正しくて常識的な人間が、自分が全能者として振る舞えるウエストワールドにはまればはまるほど、『暴力・犯罪・レイプ・虐待』に歯止めが効かなくなる、悪人を制圧する正義を徹底するにしても、欲望を開放してアウトローで無茶苦茶やるにしても、ウエストワールドではゲストは自分に敵対する相手を容赦なくいたぶり情け容赦なく射殺するような存在になりがちなのである。

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