○N分N乗方式は子育て支援策として悪い案ではないが、実質『年収600万以上のミドルアッパー層の減税策』に近い。独身者・低所得層の税負担は据置きで増税ではないが、高額の所得税を納める人は元々少ない。
<自民有志議員>子多いほど税軽減…「世帯方式」検討へ
年収1000万の単身者と2人子供ありを比較するモデルケースは『N分N乗方式の効果』の分かりやすさを強調しすぎた例だが、社保・経費を引いた課税所得が1000万を超える20?40代の高所得者(特にサラリーパーソン)は人数が少なくて大半の人に関係ない。単身で課税所得1000万なら330万負担には耐えられる。
反対に年収100~200万台の所得の少ない人、200~400万台の最もボリュームがある所得層では、元々課税所得が小さく所得税負担よりも社会保険負担(年金・健康保険)のほうが大きいくらいになる。N分N乗方式は中流サラリーマンの減税策だがこの層は既に子供がいる人が多い、追加の少子化対策効果は限定的だろう。
一人っ子の中流サラリーマン世帯が二人子供を持つようになる可能性、あるいは月数万単位の消費を増やす消費刺激効果は期待できる。ただ低所得者対策とか追加的な結婚・出産の増加という面では、元々の所得税負担が薄いので『減税政策』は効果が弱い。どちらかというと社会保険減額や消費税据え置きのほうが効果があるだろう。
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○紛争国における非戦闘地帯が言葉遊びであるように、『法的な戦闘行為』か『違憲でない武力衝突』かも自衛隊の安全・生死とは関係がなく政府のPKO維持の為の建前の合憲解釈に過ぎない。
「法的な戦闘ではない」=南スーダン派遣部隊の日報めぐり―稲田防衛相
南スーダンの政治情勢は停戦合意後も安定しておらず、自衛隊がいつ稲田朋美防衛相の言ういわゆる『武力衝突』に巻き込まれ殉死者(戦死者)を出すかは分からないが、『憲法解釈(戦闘行為か武力衝突か)』以上に客観的事実を誤魔化される恐れのある『日報の廃棄(日報がもうないと嘘をつこうとした)』の方が問題だろう。
さすがに自衛隊の海外派遣で戦死者が出た場合に事故死・殉難死で煙に巻くはしないと信じたいが…『非戦闘地域・法的な戦闘行為』など言葉の合憲性確保の都合はあるにせよ、紛争・テロが頻発する地域の暫時的治安は自衛隊の安全を保障しない、国際貢献・同盟軍の為の戦闘も有り得るリスクと事実を踏まえての派遣となる。
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○中東・アフリカ7国の入国禁止のトランプ大統領令は、違憲の疑いもあり不当としてシアトル連邦地裁のロバート判事が即時停止を命じた。判決は大統領令に優越するので、国務省はしぶしぶ有効なビザを所持していれば7ヶ国の人も米国行き旅客機に搭乗し入国できるとした。トランプは納得せず司法省に執行停止の控訴をさせる。
アメリカの大統領の権力と、州政府の自治権と、司法の権力(憲法審査権)と、議会の反論の議論が激しくぶつかり合っている。ビザがあるのに入国禁止は不当と、シアトル地裁の大統領令停止の判決が即座に全米に適用されたことは、『米国に三権分立の法の支配がある・トランプは全権掌握の独裁者ではない』を立証している。
トランプ大統領は、シアトル地裁のロバート判事の大統領に逆らう判決を『アメリカの法治を脅かす』と非難するが、大統領令が誰にも覆せない絶対的命令ならそのほうが法治・民主主義ではないということになる。確かに合衆国大統領は米国の最高権力者だが、その大統領もまた法の支配の下にあるからこそ独裁者ではないのだ。
○リーマンショックとサブプライムローン破綻の反省から、過度のリスク投資を規制する意図のドッド・フランク法を廃止…本心はウォール街の味方なのだろうか。
トランプ氏、金融規制を緩和へ オバマ氏の「遺産」覆す
今アメリカ経済は中期の景気サイクルで好況に向かいつつあり、ダウなどの平均株価だけではなく、雇用統計も予想を超える改善を続けている。金融規制緩和のニュースで月曜は日経平均も刺激されるか。格差を嘆く富豪のトランプ大統領だがウォール街のゴールドマン・サックス等とつながってそうと思われても仕方ない金融政策路線ではある。
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○トランプ大統領の政治理念を象徴するのが、アメリカ人(特に白人労働者層)を保護し敵(不法移民・ムスリム・外国製品)を米国から隔離・排除する『壁』だが、この壁は『移民国家・人種の坩堝』の熱量で発展した米国の自己否定でもある。
米国の入国制限に国際社会が反発、中東同盟国からも批判
トランプ大統領やその熱烈な支持層にとって、現在のグローバリズムや移民国家(人種の坩堝・非白人の影響力増大)、イスラム過激派の潜入は、『アメリカ合衆国の純潔性の濁り』として受け取られている。国境や自由貿易やムスリム入国を阻む『壁』が、リスクを濾過する装置のようにメタファーとして求められている。
だが米国の活力と拡大のエネルギー源になってきたのも『移民の労働力・ハングリー精神・人口増加』で、独立戦争以降、必ずしもアングロサクソン系の勝利・発展の歴史のみに一元化できるものではない。黒人もアジア系もヒスパニックもムスリムも移民から米国市民としてのアイデンティティを得て社会貢献した者が無数にいる。
トランプ政権の『難民の入国拒否』は国際条約・人道的責任の履行に反し、『特定国家のムスリムの入国制限』はイスラム圏に対する相互の怨恨や偏見を助長する恐れもある。『壁による国境・セキュリティ強化』は現代の先進国が対応を悩む(自国の価値と合わない)異質異端・(恩を仇で返される)懐疑心と絡んで賛否が割れる。
トランプ大統領のムスリム・難民の米国入国制限の政策の趣旨は、『永久に中東の特定国家の市民の入国を認めない』のではないようだ。入国制限には期間設定があり、永住権(グリーンカード)保持者は入国可能。目的は『入国審査の厳格化(履歴照会等で潜在的な反米主義者・テロリストの入国拒否)』にあるとしている。
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○働いた分だけ生活保護が減額される仕組みも不正(所得未申告)を誘発しやすく保護離脱を困難にするが、未申告は金額・雇用形態にもよるが『働けない状態を装う不正受給』とは質が異なる部分はある。
生活保護の不正受給が過去最多 15年度4万3938件
原則貯蓄ゼロでなければ保護が受けられないとか、臨時収入が何回かあってもその後に途絶えたらどうする等も、『継続的な自立(生活保護離脱)』を図る上の障害になるが、心身の健康問題だけでなく『仕事能力・貯蓄・適性と経験・コミュニケーション力・勤労意欲』のどれかがゼロなら元の才覚もないと大変な状態にはなる。
日本は再チャレンジ困難と言われるが、職業経験・資格や学歴・学習能力など何も持たない人でも、『愚直な勤労意欲+人並み以上の体力(肉体労働適性)あるいは愛想・見栄えの良さ(サービス適性)』があれば何とか食える程度の収入は得られるはずだが、年齢を重ね挫折・辛酸を味わい愚直・関係性を失うと心折れる人も出る。
生活保護と最低賃金のバランスの問題、本人の人生設計・モチベーション・学習能力もあるが、『仕事』にせよ『労働』にせよ、安定して稼ぐための雇用基盤をいったん失うと、再就職に何度か躓いたり蓄え・支え(お金・意欲・関係)を失えば容易に厳しい状況に追い込まれやすい。
生活保護の不正受給に対する厳しいバッシングが起こるのは、それだけ現代日本では生活保護前後の所得水準の働き方や雇用が増えており、『懸命に働いても最低限の生活だけで精一杯の層』が増えて中流階層が崩れてきている事の現れである。超高齢化・年金未納率・単身家庭・非正規率など生活保護増加の要因も減りづらい。
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トランプ大統領は既に『TPP離脱の大統領令』に署名したようだ。更に米国人労働者の雇用・収入を守るとする『保護主義』の象徴として、トランプ自身がTPP離脱をマニフェストの中核に置いているため、支持層の反発からも翻意は難しい。
米トランプ政権のTPP脱退、翻意促したい=榊原経団連会長
TPP(環太平洋経済連携協定)は、最近までアメリカが日本に押し付けてくる米国ばかりに有利な自由貿易の拡大と見られていたが、選挙でトランプ大統領が誕生してからは米国(米国民の労働者)に不利益が多いという正反対の見方がなされるようになった。経済成長ではなく製造業中心の雇用を守る姿勢に転換した。
再びアメリカを偉大にすると訴えるトランプ大統領の米国第一主義(アメリカファースト)の施政方針演説は、理念は『ワシントン政府・多国籍企業からの権力と富の奪還(静かな革命)』であり、その実践は『アメリカ人の中流階層(庶民が勤勉に働けば中流の富を得る製造業雇用)の復権』にある。労働者の立場・利害に徹した。
トランプ大統領本人は経営者であり資産家だがその富の多くは『自由貿易の外需』ではなく『米国民の内需』によって生み出されたこともある。今まで顰蹙や非難を浴びながらも『世界の警察・自由貿易の旗手・オピニオンリーダーの役』にしゃしゃりでてきた米国が自ら国際社会の秩序策定の役を手放すような仕草を見せている。
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