保守派を自認する安倍政権にとってリベラルな今上天皇が「戦後レジーム・戦後民主主義の代弁者」になっている構図はシニカルだが、日本にとっての象徴天皇の位置づけは歴史・民意の結節点になりやすい。
“改憲・安保法制(集団安保)・歴史教育(大東亜戦争の評価)・沖縄基地問題”などは、確かに安倍政権の特徴の一つで、多くの政治対立の原因となっているが、日本の時代精神や外交・世論が180度変わる時には、当代の天皇陛下ではないにしても、今上天皇の発言・価値観にも何らかの変化が見られるはずだ。
天皇の治世が『元号(明確に区切られる歴史的時間軸)』と共にあるという『時間支配の記号化(数値化)』は、世界的に見ても世襲王朝が断絶した民主国家ではかなり特殊な遺制だ。昭和の戦争が大東亜戦争を想起させるように、日本人の時代感覚・価値・記憶と元号は現状では西暦以上に切り離せない所与の時間概念である。
天皇陛下本人が老いの影響を折に触れて述懐されているが、天皇が崩御するまで『元号』が続き、原則引退できない慣例は健康・人権の観点からも改める必要がある。明治以前の天皇は上皇・法皇になる事ができたが、近代日本は院政の歴史等から『最高権威の分裂・万世一系の乱れ』を警戒し、元号・天皇の唯一性を強調した。
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