先進国で特定の民族や国家を一律に誹謗中傷・恫喝するヘイトスピーチが規制されるのは道理だが、世界レベルで『感情・暴力が優位の非寛容な排斥主義・民族主義・宗教思想』 が高ぶっていることには警戒も必要になってくるだろう。
橋下大阪市長と在特会会長が「罵り合い」10分間の不毛なバトル
現在の世界情勢や国内状況、雇用・生活や自意識・関係性に大きな不満を抱く人が各地で増え、その一部は対話・人間性を拒否した者として暴動・テロ・侵略に走る。『理性・対話・寛容・個人主義』が『感情・暴力・非寛容・集団主義』で圧倒されないようにするにはどうすれば良いか。
広義にはグローバリズムや新自由主義、移民制度、欧米的な価値観・生き方とイスラム原理主義、国境線の曖昧化(EU的地域共同体)に反対する形で『同じ属性を持つ仲間を集めた暴力的かつ排他的な運動体』が結成される流れがある。そういったうねりは『現在の時代・経済・仕事・自意識に不満を持つ人』の負の感情で強まる。
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イスラム国や北朝鮮はじめ外交・理性が通用しづらい好戦的勢力の脅威がある事で、国家権力が他者を殺し防衛する先進国の軍事・国防は辛うじてその正当性を保っているが、本来は『他者を殺してでも(自国民を殺し合いに参加させてでも)目的を達成する戦争』は国家といえども正当化できない。憲法9条の平和主義は戦争放棄でもあるが『国家や権力といえども個人に殺し合いの命令はできない(暴力で無理やり要求を通す事はできない)原理』を承認する国を増やす積極的平和主義も志向したい。
「徴兵制の復活」はありえるか?28歳弁護士が「憲法との関係」をわかりやす~く解説
個人が個人を殺害する殺人は重罪であるが、国家が国民に敵と見なした人間を殺しても良い許可を与える戦争は『プリミティブな共同体主義』を離れた現代人には容認しづらい。何の怨恨も関わりもない外国人の殺傷は、戦闘的な国家主義・仮想敵・歴史観のフィルターを通さなければ狂気である。
戦争は外交の一手段だというクラウゼヴィッツの戦争観や性悪説・権謀術数のマキャベリズム、勢力衝突の地政学を高所から語る人もいるが戦争は殺して殺される当事者からすれば『全てを理不尽に失う現実』にしか過ぎない。そして大多数の国民は戦時体制において『失い続ける弱者・使役される側』で地政学を語れる身分ではない。
現代の日本において『徴兵制の復活』が有り得るかは、『現行憲法による制約・憲法改正の可能性・国民の価値観の変化(軍事力とリンクした愛国心奨励など教育の変更)・米国的な経済的徴兵制』などの観点から考えられる。徴兵制には『安全保障上の有用性』だけでなく『国家主義的な国民精神の涵養・動員』の意味合いもある。
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小渕優子経産相が政治とカネの問題で更迭されそうだが、これは『女性登用内閣の失敗』ではなく、男女を問わない『政治資金規正法違反(公金の不適切支出・私的流用)』の問題で慣習的に看過されることが多かっただけでもある。
<小渕経産相>観劇会差額2639万円記載なく説明もなく
小渕優子氏の政治資金の不適切支出の論点は大きく3つ。実姉の夫が経営する服飾店からネクタイやハンカチ、衣料など約500万円を購入し、政治資金で親族経営の服飾事業を支援した疑い。ベビー用品や化粧品、食料品など政治活動と無関係な私生活の費用に政治資金を使った疑い。2012年までの5年間に1000万円になる。
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憲法9条は『平和主義・戦争放棄・軍隊の不保持』を定めた憲法の条文であり、各国が相互に憲法9条と同等の内容を持つ憲法を定めて遵守すれば戦争はなくなるでしょうが、『現状維持・現行の秩序を望まない国家や勢力』は、武力による現状変更・秩序の組み換えに正義(自衛・悪の排除の大義名分)を感じるので容易には受け容れないでしょう。
現代では武力の必要性を語る人は、『侵略・利権の拡大』ではなく『自衛・外敵の脅威からの防衛』の観点から語りますが、そこには自分たちが軍隊を持たず戦争をしなくても外国は軍隊を強化して戦争を仕掛けてくるかもしれない(仮に9条を導入しても見せかけだけで遵守しないかもしれない)という『相互不信』があります。
■「憲法9条」平和賞に期待=自民・谷垣氏
憲法9条と自衛隊を持つ日本は、日本人の大多数にとっては『戦争をしない平和な国』として認識されていますが、中国・韓国・北朝鮮からは『9条に違背する自衛隊の正当化+外国を油断させるための見せかけだけの平和憲法(表層的な戦争の反省と不戦の誓いをいつか覆す右翼的な準備計画の進行中)』ではないのかという穿った見方をされてしまうこともあります。
恐らく中国や韓国が憲法9条と同等の憲法条文を採用して、軍隊を自衛隊という名称に変更しても、右派をはじめとする日本人のかなりの割合の人は同じように『外国を油断させるための見せかけだけの平和憲法』に過ぎないと断定して警戒感を変えないでしょう。
自衛目的にしか使わないという但し書きがついていても、大量破壊兵器・通常兵器と訓練された軍隊が実際に存在している以上、もしかしたら『自衛以外の目的(自衛・主権侵害を大義名分にした言いがかり)』にもその兵器と軍隊を使ってくるのではないか(現在の経済的社会的問題と連動することで過去の歴史的な遺恨・不満やナショナリズムの感情が鬱積したり爆発したりするのではないか)という不信感は簡単には払拭できないからです。
現実の戦争は政治指導者・軍の上層部・官界財界の協力者(扇動者)・軍需産業の利得者は死なずに、地位も権限も名声もない『一兵卒(雑兵)』が死ぬわけですが、この一兵卒が教育や慣習、共同体倫理、メディア、自尊心によって『仮想敵の脅威・憎悪』をたぎらせたり『ナショナリスティックで物語的な自己犠牲精神』に耽溺したりするので、戦争ができる体制・憲法でいったん戦争が始まる流れが確定するとその流れに抗うことは非常に難しくなります。
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総合評価 89点/100点
人類から老後の災厄を取り除くはずだったアルツハイマー治療の新薬は、チンパンジーのシーザーを首領とする類人猿の集団に『ヒトに迫る知能・言語』を与えただけではなく、人類の生存を脅かすパンデミックのトリガーとなる『猿インフルエンザの突然変異』を引き起こした。
前作『猿の惑星 創世記』のエンディングでは、育ての親であるウィル・ロッドマン博士(ジェームズ・フランコ)から『家に帰ろう』と呼びかけられたシーザーが、森の中でリーダーの自分を頼りにしているサルの大集団を振り返って『シーザーのうち、ここ』と答え、ヒトに等しい自我がシーザーに確立した所で終わった。
ウィル(ウィルの父親)やキャロラインに大切に育てられて『ヒトの優しさ・思いやり』を知るシーザーだったが、ウィルの父親を助けようとして人間に襲いかかったことで、劣悪な保護施設に閉じ込められて職員からの虐待を受け、『自分はウィルと同じ人間ではない』という自意識を持つことになった。
更に檻から逃げ出した類人猿を捕獲・殺戮しようとする人間の敵意にも晒され、『ヒトの恐ろしさ』も知ったシーザーは、人間界との境界線を明確にして、自然公園の奥深い森に閉じこもって暮らすという棲み分けの決断をした。
あれから10年の歳月を経て、森に足を踏み入れる人間の影がパタリと消え、森から見える街の風景は次第に荒廃してきた。伝え聞く情報によるとヒトは猿インフルの大流行と社会的パニック(殺し合い)によって大幅に人口が減少したか、あるいは絶滅したのではないかという……シーザーはそれでも安易に境界線を超えることをせず、ヒトの住む街には近づくべきではない(接触しない限り争いは起こらない)という判断を維持した。
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1991年のソ連崩壊によって、自由民主主義と自由経済、人権思想、個人の尊厳(プライバシー保護)を国家運営の原理として掲げる『西側の先進国(アメリカ)』が東西冷戦に勝利した。
フランシス・フクヤマはじめ一部の歴史学者から、『進歩主義の歴史』は自由主義・市場経済・人権思想の永続的勝利によって終焉したと見なされることさえあったが、現実はアメリカとソ連のイデオロギー対立を喪失した世界は『民族・宗教・歴史認識・文化慣習』によって細かな紛争・怨恨・不寛容のモザイク模様を形成しはじめた。
「イスラム国」早急に排除必要…30か国が声明
『共産主義(コミュニズム)』という階級闘争史観や資本主義の貨幣経済(富の偏在・格差)を克服した“理想の楽園”を目指す共産党の集団指導原理は、ソ連や東欧、南米に『一党独裁の収容所国家・暴力的な革命戦争やゲリラ部隊』を出現させた。
K.マルクスやF.エンゲルスが科学的社会主義の帰結として予見した共産主義は、共産党の指導体制(あるいは革命指導の独裁者)に従わない『個人(史的唯物論の展開を阻害する反乱分子)』を、場合によっては監禁・洗脳・殺害する危険な国家体制の絶対規範として機能してしまった。
旧共産圏の国家体制や指導者が、人民を計画経済や赤化計画の内部で道具化(量的な配置)してあらゆる自由を制限してきた実態が曝露されるにつれて、西側の知識人・文化人の共産主義者もその多くが失望して変節していったが、共産主義は『個人の自由な思想・言論・生き方』を否定して『共産党の目標や計画経済のノルマ(社会全体の計画的な生産・軍事の体制)』に無理矢理にでも従わせるという意味で反近代的な思想・原理であったと言える。
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