○グローバル化・多様性が叫ばれる現代の先進国でも、同じ土地に住み続け「法的な国民」より「歴史・文化的な民族」に帰属心を持つ人が大勢いる現実…カタルーニャ独立運動はスペイン自身が刺激した。
カタルーニャ州議会が独立宣言 中央政府との対立決定的 (朝日新聞デジタル 10月27日 http://mixi.at/agzLxmq)
カタルーニャ州はバルセロナを擁し、スペイン国内でも経済力がある地域だが、それ故に「中央政府からの搾取感・民族意識に対する冷遇」を意識しやすかった。2006年にカタルーニャ自治憲章を制定した際、中央政府が違憲判決で退けたが、この事が自己決定を取り戻そうとするカタルーニャ民族主義を刺激する起点になった。
「2010年カタルーニャ自治抗議」あたりから、自治州のレベルでは満足できないとするカタルーニャ民族主義の加熱感が高まり、それ以前は20%台に留まっていた独立賛成の民意が急拡大していった。スペイン国家全体では、逆に地方自治を超えた地方独立に危機感を覚える国民も増え、憲法・法律での押さえ込みが強まった。
スペイン人全体の民意は、やはりカタルーニャ州の独立に反対で独立宣言は違憲かつ無効というものである。アメリカもEUのドイツやフランスもカタルーニャの国家としての独立は承認しない声明を出した。2011年国政選挙で、中央集権・統一を訴えた右派のラホイ首相が締め付けた事もカタルーニャ民族主義を逆に強めた。
EUがカタルーニャを独立国家として承認して加盟を認めれば、カタルーニャは外交・安全保障の不安はなくなるが、現時点ではEU内でも独仏に続いて存在感が強く国土も広いスペインへの配慮のほうが勝るだろう。カタルーニャ独立を承認する有力な国家がいない現状では、独立後の問題を自己解決できない恐れが強い。