欧米の黒人の人種差別問題は歴史的屈辱の根が深い。黒人を奴隷化した白人国家は自然科学・進化論を悪用して「黒人・黄色人種の人種的劣等性(白人比で知能・文明の進化度が不十分なサルとの近似性)」を強引に証明しようとした。
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第二次世界大戦では、アングロサクソン系の米英ではアジア人(日本人)に対して「イエローモンキー」という差別語で扇情的な情勢報道が行われていたが、同時に19~20世紀の欧州では中国人・日本人の黄色人種が白人のキリスト教文明圏に進出してくるという「黄禍論(白人の帝国主義・人種差別意識の投影)」が流行した。
白人の中にもアナトール・フランスのような知識人で、黄禍論は「白禍論(白人の帝国主義的侵略)」が引き起こした被害妄想の投影に過ぎないと看破する者もいたが、基本的には「奴隷の黒人同等で進化的にサルに近いはずの黄色人種がわれわれ白人に抵抗することが許せない」という人種差別思想からくる被害妄想である。
黒人差別と黄禍論(黄色人種差別)は「白人至上主義・白人国家の帝国主義」に淵源を持つ点では同じだが、アフリカの黒人は国家・文明としての抵抗力を持たず白人国家に一方的に蹂躙・拉致され奴隷にされた(長期人権侵害が法制化された)意味で、黄色人種よりも人種差別にはセンシティブにならざるを得ない歴史背景がある。
黒人コミュニティーが現在も多民族国家の旧宗主国内部にあって一定の棲み分け・階層性が残る現状も影響する。黒人の教育・生活水準の向上によって「白人の貧困層・無教養層の劣等感(白人であることにしかプライドを持てない層のストレス発散)」が煽られ、時代錯誤な黒人差別のスラングや挑発行為が再燃する問題もある。