日本国内における原発再稼働に留まらず、トルコをはじめとする中東・アジアの国々に最新型の原発インフラを売り込もうとする安倍首相は、原発依存度を下げて最終的にゼロを目指す『脱原発路線』を放棄したかのように見えるが、ここに来て小泉純一郎元首相がカウンターパンチの『原発ゼロ論』を叩きこんできた意義はどこにあるのか。
財政再建との兼ね合いで博打的な要素も強いアベノミクス、使用済み核燃料の最終処分を棚上げしている原子力発電、福島第一原発サイトの汚染水タンクの増加などを冷静に見据えれば、小泉元首相は消費税増税による支持者離反も含めて、おそらく『安倍政権の賞味期限』をレイムダックを経た後の次期衆院選辺りと見積もっているのかもしれない。
小泉純一郎氏は『政局と大衆心理の読み・ワンフレーズポリティクス』の嗅覚は異常に鋭いところがあり、現在の自民党内や地方の支持者・青年局の間で急速に人気を高めている息子の小泉進次郎政務官に『ポスト安倍の求心力となるアジェンダ』のヒントを出していると見ることもできる。
世襲議員はダメだという世論は強いが、それでも自民党内の過半数の議員は世襲や親族に議員がいて地盤を持つ者であり、小泉進次郎はその中でも『容姿や弁舌・メディア露出(全般的な人気度)・押し出し・論争に耐えそうな気質』の上で抜きんでた存在感を示すサラブレッドであり、高齢・固陋のイメージが強い自民党において数少ない『若さ・改革の象徴的存在』にもなっている。
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アメリカは『シェールガス革命』と呼ばれる技術革新(イノベーション)によって、石油エネルギーの輸入国から天然ガス(シェールガス)の輸出国へと転換しつつあるが、米国ではシェールガスの生産過剰によって国内価格が下落して倒産する企業も出始めている。
しかし、米国は自由貿易圏の拡大戦略とシェールガスのエネルギー輸出相手を紐づけており、現状では米国とFTA(自由貿易協定)を結んでいる相手国にしかシェールガスの輸出を認可していない。
日本はTPP(環太平洋経済連携協定)参加を渋っていたことがあり、シェールガスの輸出先から漏れていたが、『安倍首相とオバマ大統領の2月の首脳会談における日本側からの要請』を受けて、オバマ大統領が対日輸出を認可した。
『日本のTPP交渉への参加姿勢』と『米国内での供給過剰(価格下落)』という前提条件の影響ももちろんあるのだが、アメリカの太平洋地域における安定的な世界戦略の推進には『日米同盟(日米安保体制)』が欠かせないからであり、日本のエネルギーコスト削減(日本経済の景気回復・被災地の復旧復興)を支援するという意味合いもある。
シェールガスは地下数百メートル以上の深さにある『頁岩(けつがん)層=シェール層』に含まれる非在来型天然ガスで、今までは採掘コストの高さから実用化が困難であったが、超高圧の水や化学薬品を注入して岩盤を破砕しながらガスを採取する『水圧破砕法』のイノベーションでコストが大幅に引き下げられた。
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