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『一般のイスラム教』と『IS(イスラム国)のテロリズム』を同一視することの間違いと危険性:多様な個人と集団帰属を分離する近代精神の成熟

『イスラム教』と『IS(イスラム国)の過激派勢力』は異なり、ISに参加していないムスリムは危険なテロリストでも武装勢力でもないというのは常識的な認識として日本人も持っておく必要がある。

IS(イスラム国)と無関係な在日の一般ムスリムに、悪意や復讐心に基づく差別・迫害・嫌がらせを行うことは犯罪・迷惑行為であり、自らの認識の間違いや人間性の愚劣さをあらわにすることに他ならない。

一方で、後藤健二さんと湯浅遥菜さんは『民間の日本人』であって、『安倍政権(日本政府)の対ISの外交政策・テロ対策の代弁者』ではないのだが、IS(イスラム国)は後藤さんと湯浅さんが『日本政府の方針や資金支援に反対する個人』であったとしても容赦なく殺害しただろう。

ここに、排他的(対話不能)なナショナリズムや宗教原理主義に接続しやすい『国家と宗教への帰属を決め付ける人間心性』や『相手の帰属情報だけで自分たちの敵だと決め付ける対話拒絶』の恐ろしさがあると見なければならない。

人口3億人を擁するアメリカ、人口1億3千万人の日本には、『アメリカ人』や『日本人』という大雑把過ぎる国籍のカテゴリーだけでは括れない多種多様な思想信条・価値観・ライフスタイル・人間関係・国際感覚を持った人たちがごった混ぜになっていて、すべてのアメリカ人(日本人)が『政府・権力者の賛同者』であるわけではなく、政権を支持していても内政・経済と外交・軍事では意見が分かれることも多いだろう。

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マクドナルドの異物混入騒動から考えたこと:グローバル経済環境における食の安全性と衛生管理

日本マクドナルドの異物混入騒動が収まらない。経営陣の責任転嫁的な記者会見も火に油を注いだ。元々ジャンクフード業界に対しては、食の健康・安全の立場から非常に強い反感や否定もあり、衛生管理の危険を感じる異物混入は『痛烈なバッシング機会』を提供する。マスメディアがどこまで時間を取って放送するかも影響する。

朝のニュースに昼のワイドショー、マスメディアは日本マクドナルドの食の衛生安全管理体制の問題や原因究明の遅れを強い口調で非難したが、株式市場の反応はマクドナルドを暴落させるほどではなく抑え気味な反応になった。ブランドイメージの連続的な毀損と衛生管理の悪印象で、中長期的な売上は落ち込む恐れもあるだろう。

サンデーへのプラスチック片の混入は『アイス製造機械の部品の割れによる欠落・混入』、ナゲットへのビニール片の混入は『食肉製造過程で使用した青色ビニールの欠片の混入・チェック時の見落とし』という結論が概ね出ているが、最もイメージの悪い『人の歯』については混入の場所も経緯も故意か否かも明らかになってない。

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アメリカの軍事外交と日本の自民党政治が志向する『グローバリズム+ネオリベラリズム』は自国民に何をもたらすか?

ブッシュJr.政権時代のアメリカは9.11の米国同時多発テロに対する報復措置としてアルカイダのウサマ・ビンラディンを匿ったという理由で『アフガン戦争(2001年)』を断行し、客観的証拠の無いまま大量破壊兵器(化学・生物兵器)を保有しているという疑惑でフセイン政権を転覆させる『イラク戦争(2003~2010年)』を強行した。

アフガン戦争もイラク戦争も広義の『テロとの戦い』を大義名分として戦われたが、独裁者の圧政とイスラム原理主義の狂信を排除して欧米先進国の基本統治理念(人権思想・自由民主主義)を教え込むという『アメリカの上から目線の占領統治政策』は概ね失敗に終わった。

『イラクの自由作戦』と銘打たれた戦後の占領統治作戦は、アメリカの持てる軍事力と経済力、兵員の生命・健康を甚大に消耗疲弊させたが、アメリカがイラクの国家と人民をマリキ政権の下で革命的に転換させようとした試みはことごとく徒労に終わり、戦争開始から10年以上が経過した現在でもイラク国内の情勢は自爆テロが繰り返されるなど極めて不穏で危険な状態が続いている。

米軍は石油利権の市場開放を行って石油メジャーと外国人投資家を喜ばせはしたが、中途半端な戦後処理によってイラクの内政と経済はガタガタとなり、反米感情の高まりとテロリズムの続発を放置したまま米軍は撤退せざるを得なかった。

結局、アフガンのタリバン(イスラム過激派)もイラクの反米武装勢力(アルカイダ残党・新派閥)も一掃されることはなく、戦争以前よりも反米勢力・テロ組織の活動が活発化してもはや収拾がつかない。更にイラクとシリアのイスラム国(ISIS)という『反欧米主義・シャリーア遵守のイスラム過激派集団』が拡大傾向を示して、『中東全域の民主化・近代化・市場開放・武装組織排除』という欧米の悲願は打ち砕かれつつある。

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楽天が鯨肉の販売を禁止:国際的な反捕鯨運動の高まりに合わせ始めた日本のIT企業

福岡県のスーパーでは鯨肉は普通に売られている事が多い感じがある。鯨のベーコンや塩鯨、おばいけは概ね298~398円でそれほど割高な食材でもないが、日本人でも米食と連結した鯨食文化は衰退傾向。

鯨食、逆風強まる 楽天が販売禁止、敬遠する飲食店

鯨肉、特に塩漬けの塩鯨はどう調理しても、トーストやパスタ、豆の欧米風の食文化とは相性が悪い。『現在残っている鯨食文化圏』は、鯨の絶滅危機や倫理的問題だけではなく食・味の嗜好の面でも拡大できる可能性があまりないのが難しい所。どう主張しても、わざわざ鯨を食べなくても…という前提が反捕鯨国からは抜けない。

塩鯨のお茶漬けは、数ある茶漬けの中でも鯨の油との相性が生み出す特別な美味さがあるが、その味をそもそも米を食べない反捕鯨国の人々に受け入れてもらうのは不可能に近く、お茶漬けのような食べ物自体を必要としていない。独特な鯨の油の香りは、欧米圏の平均的な食文化では、『嫌な臭み』として知覚される。

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甘利明経財相が法人税率を35.64%から20%に引き下げることを示唆。経済成長戦略と国民生活の行く末。

ネオリベラリズムは大企業・資本流入を優先して労働者をコストとして軽視するが、企業が幾ら利益を上げ内部留保を蓄積しても、企業の社会貢献・利益還流が『低率の法人税』しかなければ、一般労働者の雇用条件や生活は改善しない。

法人税20%台に=甘利経財相

日本の税制の歴史的推移や直間比率の変化を見ると、税収不足の原因の一つは『所得税・法人税などの直接税』を段階的に減税し、『庶民に幅広くかける間接税・物品税』に置き換えてきたからである。

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労働者派遣法の改正:新卒キャリア以外で非正規の働き方が当たり前化する雇用トレンドをどう見るか。

正規雇用と非正規雇用の待遇格差が問題視され始めてから10年以上の歳月が流れたが、全雇用に占める非正規雇用の比率は上昇を続けており、『非正規(短時間労働)を希望する人・学生や主婦のアルバイト(パート)』なども含めてではあるが、非正規率が30%以上を占めるようになってきた。

3人に1人が非正規雇用と言われる中、『同一価値労働・同一賃金の原則』が通用しない雇用待遇に関する不満がでたり、『全力就活(一度の就活で生涯のキャリアや職業的地位が決まるといった階層社会的な考え方)』を意識して、就職が決まらないだけで人生・仕事がダメになると思い込み、精神的に追い詰められる学生(その極端な事例としての就活自殺・精神病の発症など)が増えたとも言われる。

かつて学生のアルバイトというと『生活費・学費以外の自分の自由にできるお小遣い』を稼ぐための短時間の仕事というイメージが強かったが、現在では授業料・生活費(家賃・食費など)のすべてを親が出せるような裕福な家計が激減し、学生であっても『学校に通うため・生活するため』の絶対にしなければならないバイトに従事する人が増えている。

主婦のパートも学生のアルバイトも、以前のように『してもしなくても良い仕事』の位置づけから外れつつあり、『必要な生活費・学費などを稼ぐための仕事』になっている現状がある。このことが『試験前でも休めないバイト・バイトなのにフルタイム並みに長く拘束される仕事(責任やノルマを厳しく課される仕事)』などを生み出し、学業・通学とバイトの比重が逆転してしまう『ブラックバイト』といった言葉もでてきた。

厚生労働省の労働政策審議会が『労働者派遣法』の改正を検討しているが、この改正では通訳・秘書・貿易事務などの『原則無期契約の専門26業務の区分』が廃止されて、すべての職業分野において派遣で雇われる人は、派遣会社との間で『有期契約か無期契約かの契約』をすることになる。

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