○政治に正解はないが、政治の選択や政党の支持には「理由・立場・利害・思想」がある。若者の多くには「政治選択の決め手となる理由・立場(ポジション)」が欠けている。
「間違った投票をしたくない」は正しい? 選挙に行かない若者の「言い分」 投票に尻込みする胸の内… (http://mixi.at/agt4anL、10月22日)
投票をする大人でも「自民党・安倍首相が絶対に正しいと思っている人」もいれば、「自民党・安倍首相だけには絶対に政治を任せてはならないと思っている人」もいるが、どちらの政治選択が正しいとか間違っているとかはない。前者も後者も政治選択をする人それぞれの「理由・立場・利害・思想」に基づいているだけである。
政治に「唯一の正解・普遍の歴史法則」があるとして全員を従わせようとして悲劇を招いた思想として、かつて史的唯物論・暴力革命を前提として科学的社会主義を標榜した共産主義思想(マルクス主義)があった。あるいは、個人は国家・民族の維持発展のために滅私奉公すべきとする極右の民族主義・国粋主義があった。
国家を覆い尽くした共産主義も民族主義も、それに反対する大勢の人たちを監禁・投獄したり虐待・虐殺したりした。両者は異論を許さずに踏み絵を踏ませて裏切り者を炙り出す性質を持った。同じ人間・国民であっても残酷なことができたのは、「絶対に正しい前提・我々は間違わない」が虐殺・弾圧を正当化したからである。
普通選挙と投票権とは何か、「絶対に正しい政治・前提」などはこの世にはないこと、正しいと思い込んでもしてはならない政治決断があること、権力は国民個々人(人権を持つ主権者)から一時的に付託されているに過ぎないことを確認する文明人の儀式である。「異論反論・反対勢力の存在」を認めるからこそ選挙をするのだ。