輸血用の血液不足と若年層の献血率の低下は長らく指摘され続けているが、今までと同じやり方と宣伝方法では、献血者を増やすことは恐らく困難だろう。
日本の献血は、輸血(血液製剤)が必要な事故・病気になった時にはお互い様という『相互扶助』や少しでも重症(重傷)で生命の危機に陥っている人の力になりたいという『利他精神』に基づくボランティアであり、献血者が得られるメリットは無料の飲食物以外は概ね精神的なものに限られる。
血液不足、20年度に44万人分か 若年層の底上げ目標
簡易な血液検査を兼ねているとか、献血をしたほうが体調が良くなったように感じるとかいうような個別の動機はあるかもしれないが、『注射・自分の血液の視覚化』にどちらかというとネガティブな印象を持っている人が多い。
そのため、自分から敢えて血液センター・献血ルーム(献血カー・出張献血所含め)にまで足を運んで献血しようとする人は、献血が習慣化している人(定期的な献血をすることが当たり前になっている人)以外には少ないだろう。
献血者を確実に増やす方策は、『無償の献血』を『有償の献血(売血可能な献血)』に転換することだが、日本では献血をはじめ『人間の身体資源(健康状態)』に関わるものを金銭で売買することをタブー視する倫理観は強い。
また、献血は注射針による神経損傷やウイルス感染、血液成分の異常(献血後の長期的慢性的な体調悪化)などの前例もあり、100%安全な医療行為とは言えない側面(原理的に侵襲的医療行為のすべては100%の安全性は有り得ない)もある。
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