「国際情勢」タグアーカイブ

イスラエルとハマス。パレスチナ自治区ガザの終わりなき紛争を誰がどう解決に向かわせられるのか。

イスラエル政府とイスラム原理主義組織ハマスのガザ地区における戦いは、イスラエルの強硬な右派である『ネタニヤフ政権』とパレスチナ自治政府の過激派勢力『ハマス』が、双方共に『相手から先に攻撃してきた・相手が先に停戦案を破った・やらなければやられる』と“自衛権”を主張して紛争を継続している。

圧倒的に武力で優位に立っているイスラエル軍は、ガザ地区への陸上部隊の侵攻と空爆によって、1000人以上のパレスチナ人を殺害したが、その中にはハマスのメンバーでもテロリストでもない一般市民も多数含まれている。避難所となっている学校・病院も空爆の攻撃を受けているという。

武力や兵器ではイスラエル軍にまともに対抗できないハマスも、継続的にロケット砲を市街地に撃ち込んだり決死の自爆攻撃を仕掛けたりして、46人(うち民間人3人)を殺害しているが、過激な武装闘争路線によって支持を受けてきたハマスは勝目のない戦いであっても『対イスラエルの攻撃姿勢』をやめることはない。

パレスチナ問題は『怨恨と報復の連鎖』によって戦争が終わらないと言われるが、実際には権力や武力を持たない一般市民が『紛争の継続』を望んでいるのではなく、『やらなければやられる(相手は交渉ができない嘘つきである)という強硬派の政府や武装勢力のプロパガンダ』によって戦争・武力による恫喝が不可避なものだと思い込まされているというのに近い。

パレスチナ問題の解決の王道は、『パレスチナとの共存・協力を求めるイスラエル政府』と『イスラエルとの共存・協力を求めるパレスチナ自治政府』が誕生して和平交渉をすることである。

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マレーシア航空機撃墜事件と戦争における理不尽な誤射・誤認

298人を乗せたマレーシア機17便(ボーイング777)が突如撃墜されて、親ロシア派武装勢力が展開するウクライナ東部に墜落した。オランダ人193人をはじめとする欧州人が多かったとされる乗員・乗客は全員死亡したが、マレーシアのクアラルンプールに向かう途中でウクライナ領空近くを飛行したため、『敵機』と誤認されて地対空ミサイルで撃墜されたと見られている。

マレーシア機撃墜、「親ロ派が誤射」の可能性高まる=米当局者

撃墜事件が起こった当初は、ミサイルを発射したのがウクライナ軍か親ロシア派の軍事勢力かで責任の擦り付け合い(いわゆる報道・ネットのメディアを活用する情報戦)も見られたが、現時点では親ロシア派の軍隊が発射したロシア製の地対空ミサイルBUK(ブーク)でマレーシア機が撃墜されたという結論に近づいている。

ロシアや親ロシア派は自分たちの放ったミサイルによって、民間機が撃墜されたことを公式には認めていないが、現地の政府調査団の事故調査に対して一部の親ロシア派が妨害工作を講じた(墜落機体の証拠部分の切断・隠蔽をした)という報道も為されている。

ロシアが親ロシア派にミサイルをはじめとする武器を供与していることは明らかであるため、オランダ人を多数殺害したマレーシア機撃墜が親ロシア派武装勢力によるものであると確定した場合には、『EU(欧州連合)によるロシアの非難・制裁要求』はより過激なものになる可能性が高い。

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ISIS・ISILの侵攻によるイラク内戦の激化:イスラム原理主義と独裁政治を牽制する欧米外交の矛盾点

イラクがイスラム国であり、国民の一定の割合が『欧米的な自由主義・男女同権社会・人権思想(=イスラムの伝統や慣習を解体する個人の平等な尊重)の反対者』である以上、反欧米・反民主化の勢力は尽きない。

緊迫のイラク情勢 いったい何が起こっているのか?

アメリカの対イラク・対シリアの外交の限界は、目先の軍事目標(独裁政権の転覆・イスラム過激派の抑圧)の達成のために、『価値観・信念の整合性がまるでない武装勢力』と暫時的に手を結んだり支援せざるを得ないということにある。結果、米国が支援していたフセインが人権抑圧の独裁政権を築いたような矛盾が生まれる。

アメリカは民主主義の価値を重視して、『選挙を伴わない独裁政権・軍政』を嫌って非難するが、中東では『独裁政権(軍政)がイスラム原理主義を押さえ込んでいる図式』が多く見られ、米国は『親米政権+世俗主義の体制+安定的な統治(部族政治の秩序維持)』であれば独裁政権でもお目こぼしをしてきた。

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国民投票法改正で、20歳から18歳へと投票年齢が引き下げ:選挙権年齢・成人年齢との連動と集団的自衛権の解釈改憲

国民投票法は、憲法96条にある『この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする』という改憲の手続きを具体化する要請の中で成立した。

改正国民投票法が成立 憲法解釈巡り付帯決議も

国民投票法改正の施行から4年後に『20歳以上』から『18歳以上』へと投票年齢が引き下げられるが、この年齢の引き下げは国民投票だけではなくて『公職選挙法の定める国・地方の選挙権年齢』と『民法の定める成人年齢』の引き下げにも波及するとされている。

世界的には18歳以上に選挙権を与えている国は多いので、特別な法改正とまでは言えないが、単純に投票権を与えるだけでは『若年層の投票率の低さ+政治意識の低さ(政治経済・公共的な問題についての知識情報の少なさ)』という根本的な問題は改善できないだろう。

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軍事的拡張主義の中国の国境侵犯問題:日本の『積極的平和主義』と中国の『核心的利益』との対立を埋める外交努力を。

日本の『積極的平和主義』と中国の『核心的利益』と米国の『東アジアの安定秩序』の抽象性(解釈の曖昧さ)を排除し、『法と道義の支配』を明確化するためのプロセスを積み重ねる必要がある。

中国軍幹部、日米批判に反論 首相を名指し、深まる対立

どちらが先に武力で威嚇したのか違法行為をしたのかは『水掛け論』になるだけではなく、関係各国の『ナショナルな国民感情』を悪化させ、その世論の後押しを受けた『仮想的国設定の外交・軍事方針』に傾くことで、偶発的な有事発生のリスク(交渉不能な武力衝突の可能性)が格段に高まってしまう。

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『憲法9条』のノーベル平和賞への推薦とその有効性の考察:日本国内における憲法9条を巡る価値観の対立

『憲法9条』をノーベル平和賞に推薦することは、日本国が政策的・侵略的な戦争(武力による威嚇)を遂行しないと決めた最高法規を持つ立憲主義の国であることを世界に改めて示す効果はあるが、仮にノーベル平和賞を受賞したとしても『日本以外の国』に憲法9条のような平和条項を導入させる働きかけをしなければ、国際平和への貢献にはつながりにくいだろう。

ノーベル平和賞:「憲法9条」が候補に 受賞者は日本国民

憲法9条に対する誤解として、9条の平和主義(戦争放棄)は無抵抗主義で平和ボケだという誤解があり、外国から攻撃されたり侵略されたりしても無抵抗でやられるだけなのかという反論があるが、憲法9条の規定があっても自然権に由来する『個別的自衛権』までは放棄できない。

9条があっても、日本側の交渉・対話・検証の求めをあくまで拒絶する一方的な外国の攻撃・侵略・テロを排除するための自衛目的に限定された反撃は当然に許される。日本の領土を直撃しない北朝鮮の国威発揚のミサイル発射実験に対して、現状でも破壊措置命令は出されているが、9条の規定によって日本の側から『戦争・武力(軍拡・核武装)・集団安保』を盾にした要求・交渉・威嚇はしてはならないという国家権力の歯止めが効かされている。

戦後日本の平和と安全は『憲法9条』によってもたらされたものではなく、平和主義と戦争放棄、軍隊の不保持のお題目を唱えているだけでは平和・主権は維持できないという意見もある。

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