「社会福祉」タグアーカイブ

生活保護世帯の『格差の連鎖』を防ぐ方策、大学進学に給付金を支給する制度を検討

生活保護受給世帯の子の大学進学率の低さが『貧困の連鎖』を招くので、進学しやすい環境を整えるべきだが、『子供の機会平等』を突き詰めると親の収入・資産・意識に差のある現実の社会構造の改善には限界もある。

<生活保護世帯>大学進学に給付金 厚労省検討

公的扶助に頼る生活保護世帯と自力救済で踏ん張る低所得世帯との差が縮み、逆に生活保護の方が医療費負担の低賃金労働よりまともな暮らしができる現状もある。日本が平均的に貧しくなっていっている事から『生活保護に対する嫉妬・非難・不満』が強まる悲しい現実もあるが、自己責任社会と少子化傾向は深く相関している。

現代社会では生活保護が保証する『最低限の文化的生活水準』がどこにあるのかのコンセンサスを得ることが難しい。人権意識が低かった昔のように『いかにも貧乏人の惨めな暮らしぶり・身なり』によって生活保護に対する低所得層の納得を得るやり方は許されない。豊かな社会で労働価値の格差が開いた階層・競合の問題である。

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障害者虐待が最多の3154人で、施設職員被害が増加:なぜ感情労働の介護・福祉の仕事は虐待が発生しやすいのか?

子供(乳幼児)の面倒を見ることさえ大変なように、『意思疎通・知的能力・身体能力』に大きな問題を抱えている他人の世話をしてケアをする仕事は、忍耐・奉仕が前提のストレスの大きな感情労働になりやすい。

<障害者虐待>最多3154人、施設職員被害が増加

障害者虐待を防止するためには『資質と意欲のある職員を採用して教育すること』『職員の給与や待遇を上げること』『職場の良好な人間関係とオープンな意思疎通を保つこと』『職員の悩みや不満を相談できる場所を作ること』などがポイントになるが、障害者施設の慢性的な人材不足・教育研修の不足・財政難が根底にある。

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乙武洋匡さんが離婚も視野に入れて家族と別居:子育て・介助・不倫の絡む複雑な問題

女性の存在に薄々気づきながらも、三人の子育てと乙武さんの介助を両立する事が体力的・時間的に不可能な奥さんが、不倫に助けられた面があるの指摘は重い。見て見ぬ振りをしていたが、メディアが暴けば対世間で常識的対応をしないわけにはいかない。

乙武洋匡氏が家族と別居、離婚を視野に入れた話し合い

乙武洋匡さんは社会経済的には健常者以上の力を持つ凄い人だけれど、自宅のドアさえ自分で開けられない(深夜・早朝でも奥さんが開けてあげないと入れない)など、やはり誰かの介助を受けなければ通常の生活がままならないのだが、奥さんは『自分で何でもできると語る乙武氏のイメージ』を守ってあげたかったのもあるはず。

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生活保護の家賃部分の減額:生活保護の不正受給やワーキングプアとの比較における差別的なまなざしの強さ

生活保護減額は社会保障費削減の効果において微々たるものだが、生活保護と低所得層の損得・階層の対立を煽る図式が作られていることが大きな問題である。

生活保護に対する差別・偏見・侮蔑などが、『格差社会・中流崩壊・不安定雇用増加のガス抜き』にもなっているのだが、現在の経済社会・雇用情勢では『誰がいつ生活保護に近い仕事・生活の状況になってもおかしくない側面』があり、セーフティネットとしての生活保護を縮小・削減し続けることのリスクは小さくない。

生活保護の「家賃」減額 政府予算案【福祉・雇用】

生活保護費は全体で約3兆1000億円程度の規模だが、社会保障費に占める割合は約3%で、いくら生活保護費を締め上げて減らしても、『社会保障制度改革の文脈における支出削減効果』は極めて限定的である。

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生活保護受給世帯が17年ぶりに減少。『若年失業者・低所得層・低年金無年金の高齢者の増加』による生活保護増加も懸念される。

約160万世帯の母数に対して前月比368世帯の減少というのは統計的な誤差の範囲だが、非正規・バイトの求人は増加している。金融緩和・公共投資を中心としたアベノミクスの雇用改善効果は限定的だろう。

生活保護受給、17年ぶり減 2月、前月比368世帯

欧米諸国ではキャリア・スキルの乏しい若年層の雇用市場が縮小して失業率が20~30%を超えている国も多く、生活保護・職業訓練(就労支援)の予算も増えているが、市場が成熟して単純労働の労賃が下落すると『若年層の雇用問題』が深刻化して社会福祉費が増えるというのは資本主義国家の歴史的な構造問題でもある。

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日本の医療費と高齢化社会のコスト、難病(特定疾患)支援のあり方

日本の医療費は『高齢化社会・医療技術の進歩・慢性疾患の増加・軽症受診者の多さ』などの要因によって、今後も継続的に上がり続けると予測される。現時点の医療費総額(公費負担はそのうち14兆8079億円,38.4%)は約38.5兆円であり、65歳以上の医療費が21兆4497億円で全体の55.6%、。75歳以上に絞ると13兆1226億円で34.0%であり、高齢化社会では高齢者の医療費が全体の過半を占める。

今年から来年にかけての10%への消費税増税は、高齢化社会に耐え得る社会保障制度の財源強化のためというのが表の理由であるが、10%に増税しても増収分の約12~13兆円は補正予算・経済対策(企業支援策)・国土強靭化に使われるので、医療・介護・年金の社会保障負担増に『現行制度』のまま持ちこたえられる見通しは、10%の消費増税でも依然立たない。

先進国においては医療は誰もが必要な時に利用できる社会インフラであるべきで、日本的な『国民皆保険制度』もアメリカなど一部の市場主義国を除いては、先進国にあったほうが良いとされる保険制度であったが、高齢化率が20~25%を超えてくる『超高齢化社会の医療費』では若年層と高齢層の医療負担格差(保険の負担と受給のバランス)が著しく崩れてくる問題が深刻化している。

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