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韓国の“セウォル号沈没事故”の事故原因と安全管理体制・遵法意識の問題

韓国の大型客船セウォル号(6825トン)の事故原因が、次第に明らかになりつつあるようだ。

事故が発生してしまった直接の原因は『急旋回の運転ミス+過積載(積荷の固定の弱さ)』だが、韓国企業が日本から購入した1994年製のセウォル号を大幅に改修して全高を51センチも高くしたことが、『復原力(ある程度までの船の傾きを自力で修正して姿勢を立て直す力)の大幅な低下』という船舶の構造上の不安定さにつながったと指摘されている。

車に置き換えれば、全高・重心の低いスポーツカーは地面に張り付くような走りで高速運転での旋回性能を高いレベルで維持しやすいが、全高・重心の高いワンボックスカーは高速運転中に急カーブを強引に曲がろうとすると横転するリスクが高くなるというような構造上の弱さがセウォル号にあった。

更に、積荷を違法に詰め込めるだけ積み込む『積載上限の二倍以上の過積載(違法行為)』を行って、船体の不安定さの度合いが高まっていた。積荷の固定も弱かったために、急旋回で過積載の荷物が片方に集積して復原力の限界を越えてバランスを崩してしまい、沈没事故を引き起こした。

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『永谷園 たらこ茶漬け』が近所のスーパーで売っていない(仕入れられなくなった)謎。

どうでもいい話題なのだが、かれこれ10年近く(もしくはそれ以上?)、近所のスーパーやコンビニから永谷園のお茶漬けシリーズの中の『たらこ茶漬け』が完全に姿を消してしまい、買いたくても買えない状況が続いていた。

『のり茶漬け』と『さけ茶漬け』ばかりが山積みされているのに、恐らく一番人気があるだろうと思われる『たらこ茶漬け』だけが仕入れされなかったため、勝手に明太子の原価高騰などの製造コストの問題か何かのために販売を中止していたのかと思い込んでいた。

一度、店員か店長にでもたらこ茶漬けを仕入れて貰えないか(なぜ急に店頭から姿を消してずっと入荷されないのか)聞いてみようとも思っていたのだが、『今日も無いな~。もう製造中止にでもなったのだろうか』と思っているうちに、何年かの歳月が経って殆ど存在を忘れかけていたのだが、先ほどふと思い出して検索してみた。

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映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の感想

総合評価 72点/100点

学歴もコネも外渉資格もないジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)は、何とか採用面接で押し切って22歳で憧れだったウォール街の証券会社(投資銀行)に就職を決める。だがその翌年、金融恐慌に襲われ働いてたロスチャイルド証券は倒産、ジョーダンの株屋(証券ブローカー)としてのキャリアは断絶するかに見えたが、ジョーダンにはロスチャイルド証券のハイテンションな先輩から教わった『非人間的な金儲け(銭ゲバの徹底)の黄金則』があった。

一つ、終わりなき金儲けのためのエネルギーを補充するためにセックス(良い女)を求め続けること。性欲があってやりたいからやるのではなく、稼ぐための興奮状態を切らさないためにやるのだ。証券会社に入る前は学生時代に結婚した奥さんと上手くやっていたジョーダンも、大金を掴み始めてからは見栄えのするど派手な美人のトロフィーワイフに乗り換えてしまい、性的にも道徳的にも倫理観はブッ飛んでどこかに追いやられてしまう。

この映画、全体の3割くらいは男と女の性的事象の過激な表現に費やされている、R指定は当然だが恐らく地上波の21時枠での放送はない類(性的に固い視聴者から苦情が寄せられる類)の作品だろう。

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2014年の日本の政治・経済・安全保障をどのように見通していくか:昨年からの経済成長の勢いと財政再建の転換点の見極め

2013年は参院選挙に自民党が勝利したことで“衆参のねじれ”が解消して、『自民党の一強多弱の政党政治』の路線が確立し、アベノミクスの異次元の金融緩和と公共投資が行われた。安倍政権は市場に大量のマネタリーベースを供給することで企業活動を支援して、政権初期のスタートダッシュを掛け、株価を急騰させる成果を上げたが、円安に大きく触れた反動で『食品・原油・電気ガス』のコストも上がる傾向にある。

安倍政権が今年の経済政策の課題として上げるのは、『企業の景気回復の実感が労働者にも及ぶようにすること』と『8%への消費税増税によって景気が腰折れしないこと』である。

だが、企業規模の大小や企業業績の格差、旧国営企業の好調、軽減税率導入の先延ばしなどを考えると、『アベノミクス効果の給与への還元・消費増税後の景気実感』にはかなりの格差が開くことになりそうな雲行きである。

雇用法制についても、『労働者派遣法の規制緩和+ホワイトカラー・エグゼンプション(管理職と見なされる労働者の労働時間規制の撤廃)の導入』が検討されているが、これらの雇用改革は一般労働者のメリットというよりも経営者のコスト削減に貢献するものである。

すべての職種で有期の派遣労働を可能にして雇い止めの違法性を無くす派遣法の規制緩和は、確かに『労働市場の流動性の上昇+労働者採用の実力主義の競争』というメリットも生まれる可能性はあるが、現状の日本の雇用制度はそういった市場的な競合性を公正に判断する指標そのものを持っておらず(そもそも既存の正社員を任意に解雇した上で別のより有能な労働者と入れ替えることは現状では労基法に反する違法行為である)、画餅に過ぎないようにも思える。

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“喫煙率の低下・職場の禁煙・職種と管理の強度”によって“タバコ休憩(短時間休憩)”の捉え方は変わる。

現在よりも喫煙率が高くて職場の禁煙・分煙も不徹底だった1990年代頃までは、『職場の管理者・上司』が喫煙者であることが多かったこともあって、“タバコ休憩の持ち回り”は暗黙の了解のようなものでもあった。

喫煙者と非喫煙者との間で『休憩を取る頻度』に差があるのは不公平ではないかという意見もあるが、喫煙率が高かった当時でも『喫煙者だけの休憩』というわけではなく、非喫煙者であっても“順番の持ち回り”で(お茶を飲んだり雑談をしたりで)5分程度の休憩を取っていることが多かったのではないかと思う。

「ちょっとタバコ吸ってきます」 喫煙休憩は「労働者の権利」として認められるか?

各種の店舗などでの現場仕事であれば、『忙しい時間帯』と『暇な時間帯』の落差があるので、暇な時間で人員が余っている時には順番で休憩に入っていたりもしたが、2000年代からは徹底した人員削減の合理化で暇な時間帯には『一人体制(担当時間は休憩に原則入れない体制)』も多くなったので、そういった短時間休憩(これをいわゆるタバコ休憩ということが多かった)の持ち回りのような慣習も廃れていったのだろう。

状況や進捗を見ながら短時間休憩(タバコ休憩)を取れる環境・管理体制であるか否か、勤務時間内での喫煙が明確に禁止されている会社(組織)なのかどうかが関係してくるが、勤務時間内には『仕事以外の一切の行為』をしてはいけないというレベルの厳しい管理体制にある会社・職種であれば、タバコ休憩は労働者の権利でもなければ従業員が交代で取れる休憩でもないということになる。

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NTT東の社員の収賄事件と公共性の高い倒産のない企業・組織や人材の腐敗の問題

NTT社員の収賄事件に限らず、歴史的な大資本や暗黙の政府保証(国営・国策企業の出自)を背景にして『仕事を発注するサイド(その発注の金額設定や可否の権限を持つポジション)』に立つ人材は、“組織の影響力”を“自分個人の権力”であるかのように勘違いすることも多いといえば多いわけで、そういった権限・職位の私物化によって『贈収賄の効果及び動機づけ』は生み出されている。

NTT東社員、数千万円収賄の疑い 契約発注の見返りで

間接的な贈収賄と見られても仕方がないような過剰な接待営業(決裁者へのご機嫌取り)の歴史が、『正当な競争入札(不正のない価格競争)・サービスや商品の本来の魅力(契約の合理的理由づけ)』を阻害して、人的なコネクション(義理)や見返りとしての個人レベルでの便益の供与(贈賄)を『営業の本道』であるように錯誤させてきた負の影響は大きい。

数千万円程度を供与して数十億円の仕事が代わりに取れるのであれば、それくらいの贈賄は投資対効果では全く惜しくもないが、商品・サービス・価格・技術・プレゼンで競い合うべき市場原理が歪ませられて、『既得権益者間のみの契約による経済活動の固定化』が起こってしまう。

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