飲食は人件費節約で、店長格を『営業時間の全時間帯(ワンマン・前準備・後片付け・精算含む)』にわたり配置する悪慣習もあったが、超長時間労働は過去に何度も死者(自殺・過労死)を出している。
「残業220時間で7万円は不当」しゃぶしゃぶ店を提訴
非ブラック企業に転換した飲食事業者は、バイトの中から信頼できる責任者を育成するなどして、複数人の管理体制を構築することで、正社員・店長格の実労働時間を法定労働時間である『8時間+α』の範疇に抑えている。チェーンでは朝6時~深夜2時のような営業時間も多いがその全時間帯に出勤する人員を出してはいけない。
営業時間が24時間に近いような店舗では、店長や店長同等の仕事内容をこなせる人員を複数名育成し配置しておくことが必要であり、特別に高度な経験・スキルが必要なわけではないから、バイトの中からシフト管理(対人調整)ができて責任感の強い人材を選び、時給割増の対応で配置しておくべきだろう。
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高学歴は会社員・公務員のサラリーパーソン上層のパスポートにはなるが、学力・研究能力自体はビジネスや企業適応とは関係がない。修士博士の学位は医師・法曹・エンジニア・科学者でなければ、企業・団体の需要が余りない。
京大院卒でゴミ収集バイト。なぜ高学歴プアという現象が起きるのか?
大学院は建前の上ではアカデミシャン(大学人・研究者)や高度なスペシャリストを養成する研究教育機関だが、米国のビジネススクールなど例外を除いて、市場経済や企業社会への適応性を高めることを目的としていない。民間では自分の専門が企業の研究開発部門にマッチしなければ、院卒は学卒より採用されづらい。
特に文学・哲学・史学・社会学などの文系分野の大学院は、企業のビジネスや利益になる研究開発部門とは殆ど無縁だ。高度な文献学・教養・思考能力に基づくリベラルアーツや言語的能力は人生を豊かにしてくれるが、それが企業で特別に求められる場面は、一部の教育産業を除き想定しにくい。教員・講師での応用はできるが。
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近代の学歴・学閥は経済・文化のスクリーニングの役割を果たすが、学歴の実利は大企業・官庁のキャリアのパスポート、医療・法律など高学歴の専門職にある。非大卒者の参入障壁は擬似身分を支える。
社会に出て「学歴関係ない」「学歴が通用しない」と思ったことは? どんな場面でそう思った?
学歴によって職業・所得の分かりやすいメリットを得たいなら、『大企業・公務員・専門職・研究職などのキャリア』を積まなければならないが、高学歴なら楽に良い給与が貰えるというわけではなく(一般にハイエンドな管理職・専門職ほど権限と合わせ負担も大きくなる)、学校後の終わりなき競争に参加するだけでもあるが。
学歴の職業・所得のメリットは『高学歴者・有資格者以外がその競争の場に殆ど参加できない(企業の採用条件・免許の法規制等で大半の人を事前排除する)』ことで担保されることになる。逆に言えば、高学歴者でも『キャリアを問わない誰でも参加できる場でのフラットな競争・現場仕事の実力勝負』をするなら殆ど利益はない。
経済的な実利・昇進などの面だけで学歴の効用を見れば、『高学歴だけで後は楽に高所得を得られ続ける甘い考えを持った者』は学卒後の終わりなき競争・労働のハードさに挫折・落胆のリスクがある。『様々な学歴・経歴・生き方の人が玉石混交で混じる職場で非学力・非資格の実力勝負が求められる者』も学歴の効用は余りない。
続きを読む 学歴は人生や仕事に役に立つのか?:学歴が職業・所得にもたらすメリットとは何か。 →
日本の最低賃金は、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツなど欧米先進国と比較すると極めて低く、OECD(経済協力開発機構)加盟の先進国でも最低水準である。国連からも日本の最低賃金は、『最低生活保障給』の基準を満たさないという指摘を受けている。
EU先進国の最低賃金(時給)は低くても1000~1200円以上(米国は州によって800~900円程度もあるが)であり、どんなルーティンの単純労働でも、人を雇って働かせるためには『最低生活保障水準(週5の8時間労働で何とか自立的生活のできる水準の給与)』を満たすレベルの給与を支払わなければならないという暗黙のコンセンサスがある。
労働市場の競争原理と企業の人事管理に任せてきたアメリカでさえ、時給をあまりに低く押さえ込むと労働意欲を大きく阻害して、働くよりも生活保護(フードスタンプ受給)を受けたほうがマシという人が増えるとして、最低賃金の大幅な引き上げ目標が設定され始めた。
アルバイトやパートの人たちが、最低生活保障水準を満たすような賃上げを求める社会運動(米国の行き過ぎた格差社会・極端なCEOの高額報酬・金融資本主義の労働軽視などの反対運動)も活発化している。
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『大人になったらまず趣味を無くそう』という呼びかけは、プライベート重視の思いが強い現代では、一般的な働き方の原理原則としては賛同が得られにくいものだが、『仕事の現実』としては趣味が持てないくらいに時間・精神の拘束度が強い職場・仕事・人間関係も多くある。
■「大人になったらまず趣味をなくそう」 謎の仕事論にネット震撼「一体なんのために仕事しているんだ!?」
新入社員の約3割が就職後3年以内に脱落するのはなぜか、正社員をいくつか経験した後にフリーターとして漂流する人(いわゆる正社員として定着できずに職を転々とする人)が増えてくるのはなぜかという問いとも、『趣味(個人の自由時間)を切り捨てなければサラリーマンは勤まらないというアドバイス』はつながっている部分がないわけでもない。
端的に言ってしまえば、一日を仕事と趣味に綺麗に区切って、5時か6時まで仕事をしたら後は帰って、やりたい趣味や遊びを楽しむぞ~という考え方は、プロフェッショナルな雇用期間の長いサラリーマンからすれば『学生気分』と呼ばれるものなのである。
翻って、長時間労働や休日作業(帰ってからの残務整理)も厭わないハードワーカーは、近年は会社に軛をはめられた『社畜』と若者から揶揄されたりもしているが、残念ながら日本のホワイトカラーや顧客対応型の専門職は、ある程度以上は社畜的メンタリティー(自分の個人的な楽しみや遊びの大部分を捨てて一日のほぼすべてを仕事に打ち込みくたくたになって帰って寝るだけ)がないと長く勤まらない仕組みになっていたりする。
続きを読む 仕事と趣味の比率:ワークライフ・バランスが困難な会社・職種もあるという話か。 →
みんなが『単純・短時間の労働』で楽に生活コストを賄える経済の仕組みを作る事は、資源供給に余裕があっても、『高度な専門性や職業地位の価値下落・キャリアの連続性と労働再生産』の点で難しい。
「時給1500円」を求めて…ファーストフード店員賃上げ要求の妥当性
店員や一般事務で時給1500円を貰えると、それ以上の『難易度・ストレス・専門性・長時間拘束のある職種』では、それ以上の給与待遇を考える必要が出るが、仮に店員・事務でも週休2日以上・月30万円以上稼げ物価も同じなら高度な専門性・職種の連続的キャリア(時間・心理の拘束が強いキャリア)で踏ん張る人は減る。
みんながどんな仕事でも時給1500円以上稼げ、物価も現在程度なら、仕事の悩み・ストレスは激減するが、『楽にモノを買えすぎる状態』だと『必要以上のモノ・サービスの消費』が起こるのに『モノ・サービスを全力で供給する生産者数』は減り続ける。モノ・サービスの供給不足によるインフレは共産主義の失敗要因だった……。
続きを読む 最低賃金の時給1500円の要求は、なぜ実現しづらいのか?:資本主義の賃金決定システムと適度な不足感 →
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